円高などで業績に陰りは見えるが、利益水準は依然として高い。
経営者は、過度な不安に陥らず、新規事業や人材への投資に経営資源を振り向けてもらいたい。
東証1部上場企業の2016年9月中間決算の発表が山場を迎えている。全体では、売上高が5年ぶり、営業利益は4年ぶりに前年同期を下回る見通しだ。通期の業績も減収減益が見込まれる。
1ドル=100円台前半と想定以上の円高で、輸出企業の採算が悪化したことが主な要因である。
輸出関連企業の苦戦が目立つ。日立製作所の中間決算は、前年同期比15%の営業減益だった。中国など新興国に強い建機大手のコマツも税引き後利益は4割減だ。
内需関連でも、消費者の節約志向や、訪日外国人の爆買いの一服が業績の重しとなり、百貨店大手は軒並み減益となっている。
一方、商品戦略の成果で高収益を上げた企業も少なくない。武田薬品工業は新薬の海外販売が伸び、利益が倍増した。山崎製パンも、高級感を向上させた食パンの売れ行きが好調で、16年1?9月期は90%増と大幅増益だった。
不断の開発努力や先行投資が実を結んだと言えよう。
かつてのような100円を大きく超える円高局面とは異なり、全体として見れば、企業の経営環境が極端に厳しいわけではない。
一時的な減益を甘受し、業績が堅調なうちに大胆な事業再編に動く企業も目立つ。
ソニーの中間決算は、最後の不採算部門と言われる電池事業の売却で8割の大幅減益となった。テレビ、スマートフォン事業と改革を進め、収益構造の改革に区切りをつけた意義は大きい。
三菱重工業も不振の大型客船事業を縮小し、7年ぶりの税引き後赤字となった。さらなる収益力の強化を狙って、原子力発電の核燃料事業を日立、東芝と統合する。将来への布石を打つ企業が増えていることは明るい材料である。
重要なのは、経営資源の選択と集中を進めつつ、有望な収益源となる新規事業の種をまくことだ。とりわけ人材への投資を怠ってはなるまい。労働人口が減る中、企業は従業員の能力アップによる生産性向上が求められている。
政府は経済界に高水準の賃上げの継続を要請しているが、一部の経営者は「収益は落ちている。ベースアップはあり得ない」と慎重だ。企業業績の改善にも資する経済好循環を実現するには、賃金の上昇が欠かせない。
経営者は、過度な不安に陥らず、新規事業や人材への投資に経営資源を振り向けてもらいたい。
東証1部上場企業の2016年9月中間決算の発表が山場を迎えている。全体では、売上高が5年ぶり、営業利益は4年ぶりに前年同期を下回る見通しだ。通期の業績も減収減益が見込まれる。
1ドル=100円台前半と想定以上の円高で、輸出企業の採算が悪化したことが主な要因である。
輸出関連企業の苦戦が目立つ。日立製作所の中間決算は、前年同期比15%の営業減益だった。中国など新興国に強い建機大手のコマツも税引き後利益は4割減だ。
内需関連でも、消費者の節約志向や、訪日外国人の爆買いの一服が業績の重しとなり、百貨店大手は軒並み減益となっている。
一方、商品戦略の成果で高収益を上げた企業も少なくない。武田薬品工業は新薬の海外販売が伸び、利益が倍増した。山崎製パンも、高級感を向上させた食パンの売れ行きが好調で、16年1?9月期は90%増と大幅増益だった。
不断の開発努力や先行投資が実を結んだと言えよう。
かつてのような100円を大きく超える円高局面とは異なり、全体として見れば、企業の経営環境が極端に厳しいわけではない。
一時的な減益を甘受し、業績が堅調なうちに大胆な事業再編に動く企業も目立つ。
ソニーの中間決算は、最後の不採算部門と言われる電池事業の売却で8割の大幅減益となった。テレビ、スマートフォン事業と改革を進め、収益構造の改革に区切りをつけた意義は大きい。
三菱重工業も不振の大型客船事業を縮小し、7年ぶりの税引き後赤字となった。さらなる収益力の強化を狙って、原子力発電の核燃料事業を日立、東芝と統合する。将来への布石を打つ企業が増えていることは明るい材料である。
重要なのは、経営資源の選択と集中を進めつつ、有望な収益源となる新規事業の種をまくことだ。とりわけ人材への投資を怠ってはなるまい。労働人口が減る中、企業は従業員の能力アップによる生産性向上が求められている。
政府は経済界に高水準の賃上げの継続を要請しているが、一部の経営者は「収益は落ちている。ベースアップはあり得ない」と慎重だ。企業業績の改善にも資する経済好循環を実現するには、賃金の上昇が欠かせない。