教育は、日本の将来を担う子供たちへの先行投資だ。財政再建とのバランスを考慮しつつ、指導態勢を充実させたい。
来年度予算の編成を控え、公立小中学校の教職員定数を巡る財務省と文部科学省の対立が激しさを増している。
少子化に伴い、2024年度までに約3万7000人を削減できると、財務省は主張する。10クラス当たり18人の教員が配置されている現在の水準を維持した上で、今後の児童・生徒数とクラス数の減少を反映させた試算だ。
厳しい財政状況の下、教育予算で大きな割合を占める義務教育の教職員人件費を見直したい財務省の考えは分からないでもない。
教職員の定数は、クラス数に応じた「基礎定数」と、いじめ対策などの課題に対処するために予算措置される「加配定数」から成る。財務省が今回、加配定数の削減に踏み込んだのは疑問だ。
加配定数を増やしてきたにもかかわらず、いじめの認知件数が増加しているから、効果があるとは言えない。財務省の試算は、そんな考えに基づく。
果たしてそうだろうか。いじめ問題を解決するには、早期発見と適切な指導が重要であり、認知件数の増加自体は悪いことではない。複数の教員が子供を見守っているからこそ、いじめを見つけられたという側面もあろう。
教育現場では、障害を持つ子供へのきめ細かな配慮や、外国人の児童・生徒の増加といった課題にも直面している。道徳の教科化にも備えねばならない。経験豊富な教員が定年を迎え、大量退職する状況は今後も続く。
「機械的な削減は学校の現状を無視している」と、文科省が反発するのは無理もないだろう。
そもそも、公的教育支出の割合が、日本は他の先進国に比べて低いことを忘れてはなるまい。
無論、文科省も、教員数の確保を目指すのであれば、論拠をきちんと示す必要がある。
財務省の3万7000人削減案に対し、文科省は5000人の削減にとどめたいと主張しているが、現場のニーズに応じるためというだけでは説得力に欠ける。
教育界には、定数削減により、教員の長時間労働に拍車がかかるのではとの懸念が強い。ただ、多忙化の主な原因が、教育委員会からの調査への回答といった事務作業にあるのも事実だ。
ICT(情報通信技術)の活用など、事務の効率性を高める努力を重ねることが大切である。
来年度予算の編成を控え、公立小中学校の教職員定数を巡る財務省と文部科学省の対立が激しさを増している。
少子化に伴い、2024年度までに約3万7000人を削減できると、財務省は主張する。10クラス当たり18人の教員が配置されている現在の水準を維持した上で、今後の児童・生徒数とクラス数の減少を反映させた試算だ。
厳しい財政状況の下、教育予算で大きな割合を占める義務教育の教職員人件費を見直したい財務省の考えは分からないでもない。
教職員の定数は、クラス数に応じた「基礎定数」と、いじめ対策などの課題に対処するために予算措置される「加配定数」から成る。財務省が今回、加配定数の削減に踏み込んだのは疑問だ。
加配定数を増やしてきたにもかかわらず、いじめの認知件数が増加しているから、効果があるとは言えない。財務省の試算は、そんな考えに基づく。
果たしてそうだろうか。いじめ問題を解決するには、早期発見と適切な指導が重要であり、認知件数の増加自体は悪いことではない。複数の教員が子供を見守っているからこそ、いじめを見つけられたという側面もあろう。
教育現場では、障害を持つ子供へのきめ細かな配慮や、外国人の児童・生徒の増加といった課題にも直面している。道徳の教科化にも備えねばならない。経験豊富な教員が定年を迎え、大量退職する状況は今後も続く。
「機械的な削減は学校の現状を無視している」と、文科省が反発するのは無理もないだろう。
そもそも、公的教育支出の割合が、日本は他の先進国に比べて低いことを忘れてはなるまい。
無論、文科省も、教員数の確保を目指すのであれば、論拠をきちんと示す必要がある。
財務省の3万7000人削減案に対し、文科省は5000人の削減にとどめたいと主張しているが、現場のニーズに応じるためというだけでは説得力に欠ける。
教育界には、定数削減により、教員の長時間労働に拍車がかかるのではとの懸念が強い。ただ、多忙化の主な原因が、教育委員会からの調査への回答といった事務作業にあるのも事実だ。
ICT(情報通信技術)の活用など、事務の効率性を高める努力を重ねることが大切である。