米軍普天間飛行場の辺野古移設について、公正で現実的な司法判断が出ることを期待したい。
政府が、沖縄県による埋め立て承認取り消し処分の撤回を求めた「代執行訴訟」の第1回口頭弁論が、福岡高裁那覇支部で開かれた。
法務省の定塚誠訟務局長は「埋め立て承認による不利益は、取り消しによる膨大な不利益を上回るとは到底考えられない」と述べ、県の処分の違法性を指摘した。
取り消しによる不利益として、日米関係の悪化や、普天間飛行場の危険性除去の白紙化、跡地利用計画の頓挫などを挙げた。
この主張は、1968年の最高裁判決が示した行政機関の処分取り消し基準に基づいている。
「取り消す不利益と取り消さない不利益を比較考量」したうえ、「公共の福祉に照らして著しく不当」な場合に限って取り消しができる。これが基準である。
辺野古移設に伴う不利益は、自然環境への影響や騒音被害などが想定される。だが、普天間飛行場の現状が大幅に改善される利益と比べれば、極めて限定的だ。政府の主張には十分根拠があろう。
公共事業の環境保全に関して、2012年に東京高裁は「常に最高水準を講じるべきだとする絶対的基準があるわけではない」との判断を示している。政府は、この判決に基づいて、適正な環境対策を実施したとの立場である。
沖縄県側は、政府の提訴を「代執行手続きの申し立て権の乱用で違法だ」とし、却下を求めた。
翁長雄志知事は、「県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされてきた」と訴えた。「沖縄県に米軍専用施設を集中させ、今また22世紀まで利用可能な基地建設が強行されようとしている」などと政府を批判した。
だが、96年の最高裁判決は、米軍用地の使用に関して、政府の幅広い「政策的、技術的な裁量」を認めている。翁長氏が県民の「人権」を強調するなら、普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民にも配慮すべきではないか。
疑問なのは、県側が米軍基地建設について、根拠となる国内法がないことを理由に「憲法違反だ」などと主張したことだ。
日本の安全保障にとって極めて重要な日米同盟を否定している、とも受け取れる内容である。
そもそも翁長氏が、仲井真弘多前知事が厳密な審査を経て行った埋め立て承認について、「法的瑕疵(かし)がある」として取り消したことに無理があると言えよう。
政府が、沖縄県による埋め立て承認取り消し処分の撤回を求めた「代執行訴訟」の第1回口頭弁論が、福岡高裁那覇支部で開かれた。
法務省の定塚誠訟務局長は「埋め立て承認による不利益は、取り消しによる膨大な不利益を上回るとは到底考えられない」と述べ、県の処分の違法性を指摘した。
取り消しによる不利益として、日米関係の悪化や、普天間飛行場の危険性除去の白紙化、跡地利用計画の頓挫などを挙げた。
この主張は、1968年の最高裁判決が示した行政機関の処分取り消し基準に基づいている。
「取り消す不利益と取り消さない不利益を比較考量」したうえ、「公共の福祉に照らして著しく不当」な場合に限って取り消しができる。これが基準である。
辺野古移設に伴う不利益は、自然環境への影響や騒音被害などが想定される。だが、普天間飛行場の現状が大幅に改善される利益と比べれば、極めて限定的だ。政府の主張には十分根拠があろう。
公共事業の環境保全に関して、2012年に東京高裁は「常に最高水準を講じるべきだとする絶対的基準があるわけではない」との判断を示している。政府は、この判決に基づいて、適正な環境対策を実施したとの立場である。
沖縄県側は、政府の提訴を「代執行手続きの申し立て権の乱用で違法だ」とし、却下を求めた。
翁長雄志知事は、「県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされてきた」と訴えた。「沖縄県に米軍専用施設を集中させ、今また22世紀まで利用可能な基地建設が強行されようとしている」などと政府を批判した。
だが、96年の最高裁判決は、米軍用地の使用に関して、政府の幅広い「政策的、技術的な裁量」を認めている。翁長氏が県民の「人権」を強調するなら、普天間飛行場の早期返還を求める宜野湾市民にも配慮すべきではないか。
疑問なのは、県側が米軍基地建設について、根拠となる国内法がないことを理由に「憲法違反だ」などと主張したことだ。
日本の安全保障にとって極めて重要な日米同盟を否定している、とも受け取れる内容である。
そもそも翁長氏が、仲井真弘多前知事が厳密な審査を経て行った埋め立て承認について、「法的瑕疵(かし)がある」として取り消したことに無理があると言えよう。