中国の景気減速と米利上げ観測のあおりを受けて、多くの新興国が経済の変調に苦しんでいる。それでもブラジルほど混乱が目立つ国は多くない。景気後退の一方で汚職スキャンダルが広がり、政治的な危機にも陥っている。
ブラジルは南米で随一の経済大国で、来年にリオデジャネイロ五輪をひかえる。世界経済や五輪への影響を憂えざるを得ない。
国内が平穏ならルセフ大統領はきのう来日したはずだった。だが税収減で政府支出の削減を余儀なくされ、断念した。訪日中止は2013年に続いて2回目。前回は大規模な政府批判のデモが原因だった。ブラジル国内の事情で両国関係が停滞するのは残念だ。
何より心配なのは経済を立て直す展望が開けないことだ。7?9月期の国内総生産(GDP)は実質で前年同期に比べ4.5%減少し、過去20年ほどの間で最悪を記録した。前年同期比でマイナスの成長は6四半期連続だ。
並行して通貨レアルの下落でインフレがすすみ、中銀は政策金利の引き上げをくり返してきた。
混迷を助長しているのは、国営石油大手ペトロブラスをめぐる汚職スキャンダルだ。11月下旬に与党・労働党の実力者である上院議員が逮捕された影響などで、政府の経済運営は機動性を欠いている。市場では来年もマイナス成長を免れないとの見方が多い。
ブラジルと同じように1次産品の国際相場の高騰で潤ったことのある隣国アルゼンチンでは先月、大統領選挙で中道左派の候補が中道右派の候補に敗れ、12年ぶりの政権交代が決まった。
3年以上の任期を残しているルセフ大統領は、長年にわたる左派的な政策の負の遺産の処理をなお問われ続ける。混乱の根は深く、立て直しは容易でない。
ただ、司法もメディアも政権の意のままになっている中国やロシアに比べれば、民主主義と法の支配が機能していると評価することもできよう。大統領はじめ政治家たちは智恵の絞りどころだ。
ブラジルは南米で随一の経済大国で、来年にリオデジャネイロ五輪をひかえる。世界経済や五輪への影響を憂えざるを得ない。
国内が平穏ならルセフ大統領はきのう来日したはずだった。だが税収減で政府支出の削減を余儀なくされ、断念した。訪日中止は2013年に続いて2回目。前回は大規模な政府批判のデモが原因だった。ブラジル国内の事情で両国関係が停滞するのは残念だ。
何より心配なのは経済を立て直す展望が開けないことだ。7?9月期の国内総生産(GDP)は実質で前年同期に比べ4.5%減少し、過去20年ほどの間で最悪を記録した。前年同期比でマイナスの成長は6四半期連続だ。
並行して通貨レアルの下落でインフレがすすみ、中銀は政策金利の引き上げをくり返してきた。
混迷を助長しているのは、国営石油大手ペトロブラスをめぐる汚職スキャンダルだ。11月下旬に与党・労働党の実力者である上院議員が逮捕された影響などで、政府の経済運営は機動性を欠いている。市場では来年もマイナス成長を免れないとの見方が多い。
ブラジルと同じように1次産品の国際相場の高騰で潤ったことのある隣国アルゼンチンでは先月、大統領選挙で中道左派の候補が中道右派の候補に敗れ、12年ぶりの政権交代が決まった。
3年以上の任期を残しているルセフ大統領は、長年にわたる左派的な政策の負の遺産の処理をなお問われ続ける。混乱の根は深く、立て直しは容易でない。
ただ、司法もメディアも政権の意のままになっている中国やロシアに比べれば、民主主義と法の支配が機能していると評価することもできよう。大統領はじめ政治家たちは智恵の絞りどころだ。