金星探査機「あかつき」が、5年ぶりの再挑戦で金星を回る楕円(だえん)軌道に投入された。
絶望的な状況から探査機を復活させ、日本の宇宙技術の精度の高さを世界に示した宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトチームに大きな拍手を送りたい。
日本の探査機が地球以外の惑星周回軌道に入ったのは初めてだ。軌道投入された「あかつき」からは、鮮明な金星の画像が送信された。日本の宇宙開発にとって、悲願だった惑星探査の第一歩である。
「あかつき」は、平成22年12月に金星周回軌道に投入される予定だったが、主エンジンが噴射中に故障したために失敗し、その後は太陽の周りを回っていた。
JAXAは致命的な故障を抱えた「あかつき」を見捨てず、精緻な計算で「一度限り」の再挑戦の機会をとらえ、軌道投入を成功させた。姿勢制御用の小型エンジンによる軌道投入は、世界でも前例がない。
通信途絶やエンジン故障を乗り越え、22年6月に小惑星の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」に続く快挙だ。チームが一丸となって困難な問題を粘り強く克服していく姿勢は、「はやぶさ」から「あかつき」に継承された。
「あかつき」には機体の劣化など不安要素もあるが、欧米やロシアに後れをとっている惑星探査で、存在感を示してほしい。
科学技術の研究、開発には失敗や不測の事態がつきものだ。
10日が授賞式の今年のノーベル賞でも、梶田隆章さんに物理学賞をもたらした観測装置「スーパーカミオカンデ」は、13年に大規模な破損事故を起こした。
医学・生理学賞の大村智さんは、若い学生たちへのメッセージとして、「成功した人は失敗を言わないが、人よりも3倍は失敗している。失敗を繰り返しても、やりたいことをやりなさい」と語っている。
大切なのは、研究開発を成功させる強い意志と使命感、粘り強く努力するひたむきさである。
悪い例も挙げておこう。高速増殖原型炉「もんじゅ」である。ナトリウム漏れ事故から今月で20年が過ぎたが、復活への道筋はみえない。
日本が必要としている核燃料サイクルの行き詰まりを打開しなければならない。
絶望的な状況から探査機を復活させ、日本の宇宙技術の精度の高さを世界に示した宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトチームに大きな拍手を送りたい。
日本の探査機が地球以外の惑星周回軌道に入ったのは初めてだ。軌道投入された「あかつき」からは、鮮明な金星の画像が送信された。日本の宇宙開発にとって、悲願だった惑星探査の第一歩である。
「あかつき」は、平成22年12月に金星周回軌道に投入される予定だったが、主エンジンが噴射中に故障したために失敗し、その後は太陽の周りを回っていた。
JAXAは致命的な故障を抱えた「あかつき」を見捨てず、精緻な計算で「一度限り」の再挑戦の機会をとらえ、軌道投入を成功させた。姿勢制御用の小型エンジンによる軌道投入は、世界でも前例がない。
通信途絶やエンジン故障を乗り越え、22年6月に小惑星の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」に続く快挙だ。チームが一丸となって困難な問題を粘り強く克服していく姿勢は、「はやぶさ」から「あかつき」に継承された。
「あかつき」には機体の劣化など不安要素もあるが、欧米やロシアに後れをとっている惑星探査で、存在感を示してほしい。
科学技術の研究、開発には失敗や不測の事態がつきものだ。
10日が授賞式の今年のノーベル賞でも、梶田隆章さんに物理学賞をもたらした観測装置「スーパーカミオカンデ」は、13年に大規模な破損事故を起こした。
医学・生理学賞の大村智さんは、若い学生たちへのメッセージとして、「成功した人は失敗を言わないが、人よりも3倍は失敗している。失敗を繰り返しても、やりたいことをやりなさい」と語っている。
大切なのは、研究開発を成功させる強い意志と使命感、粘り強く努力するひたむきさである。
悪い例も挙げておこう。高速増殖原型炉「もんじゅ」である。ナトリウム漏れ事故から今月で20年が過ぎたが、復活への道筋はみえない。
日本が必要としている核燃料サイクルの行き詰まりを打開しなければならない。