今世紀初頭から続いた新興国ブームが陰りつつある。中国の経済も失速しており、新興国は厳しい時代に入りそうだ。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、近く9年ぶりの利上げに踏み切るとの見方が強まっている。
米国が金融引き締めへと転換すれば、世界のマネーの潮流は大きく変わり、新興国が投資資金をふんだんに借り入れられる恵まれた環境は終わる。
その変化を先取りする動きがすでに出てきた。経済基盤が弱い国から海外の投資資金が逃げ出し、通貨の急落や高インフレに陥る国が続出している。
経済危機のたびに示される教訓は、ここでも通底している。海外からの借金に頼る経済は危険であり、国内の投資資金を国民経済で生みだす努力が新興国には必要だ、ということだ。
資金流出の影響が最も著しいのが、数年前まで中国やインドなどとともに「BRICS(ブリックス)」の一角として、もてはやされてきたブラジルである。
この7?9月期の実質国内総生産(GDP)は前年より4・5%下がり、ここ20年で最悪だった。6四半期連続のマイナス成長だ。通貨も株価も急落している。
さらに汚職問題で政治が機能不全に陥り、有効な対策を打つことができない。来年のリオ五輪を前にした投資急増のもとでここまで景気が悪化しているのでは、五輪後の反動不況もかなり心配だ。
ブラジルに限らない。ロシアやインドネシア、マレーシア、南アフリカなど多くの新興国で高インフレや外貨準備の減少といった症状が表れている。テロや難民流入などの問題を抱えた国もあり、政治が不安定な政権も少なくない。
新興国にとって、難しい経済運営が当分続くだろう。それでも、国内の貯蓄制度を整え、財政を立て直し、海外からの借金頼みではない経済を地道に築いていくことでしか、真の経済強化は果たせないのも確かだ。
7年前のリーマン・ショックで先進国経済は収縮し、世界経済は成長の支えを失った。その時、かわってエンジン役を務めたのが新興国だった。その存在感は今や格段に増している。
一方、米国経済は利上げができるほどに立ち直ったとはいえ、一国で世界経済を引っ張れるほどの力強さは見えない。
新興国という推進力ぬきの片翼飛行では、世界経済はうまく飛べなくなっている。先進国と新興国との政策協調がますます重要な時代である。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、近く9年ぶりの利上げに踏み切るとの見方が強まっている。
米国が金融引き締めへと転換すれば、世界のマネーの潮流は大きく変わり、新興国が投資資金をふんだんに借り入れられる恵まれた環境は終わる。
その変化を先取りする動きがすでに出てきた。経済基盤が弱い国から海外の投資資金が逃げ出し、通貨の急落や高インフレに陥る国が続出している。
経済危機のたびに示される教訓は、ここでも通底している。海外からの借金に頼る経済は危険であり、国内の投資資金を国民経済で生みだす努力が新興国には必要だ、ということだ。
資金流出の影響が最も著しいのが、数年前まで中国やインドなどとともに「BRICS(ブリックス)」の一角として、もてはやされてきたブラジルである。
この7?9月期の実質国内総生産(GDP)は前年より4・5%下がり、ここ20年で最悪だった。6四半期連続のマイナス成長だ。通貨も株価も急落している。
さらに汚職問題で政治が機能不全に陥り、有効な対策を打つことができない。来年のリオ五輪を前にした投資急増のもとでここまで景気が悪化しているのでは、五輪後の反動不況もかなり心配だ。
ブラジルに限らない。ロシアやインドネシア、マレーシア、南アフリカなど多くの新興国で高インフレや外貨準備の減少といった症状が表れている。テロや難民流入などの問題を抱えた国もあり、政治が不安定な政権も少なくない。
新興国にとって、難しい経済運営が当分続くだろう。それでも、国内の貯蓄制度を整え、財政を立て直し、海外からの借金頼みではない経済を地道に築いていくことでしか、真の経済強化は果たせないのも確かだ。
7年前のリーマン・ショックで先進国経済は収縮し、世界経済は成長の支えを失った。その時、かわってエンジン役を務めたのが新興国だった。その存在感は今や格段に増している。
一方、米国経済は利上げができるほどに立ち直ったとはいえ、一国で世界経済を引っ張れるほどの力強さは見えない。
新興国という推進力ぬきの片翼飛行では、世界経済はうまく飛べなくなっている。先進国と新興国との政策協調がますます重要な時代である。