日本や日本国民を、真の意味で戦争の危険から遠ざける法的な基盤が整った。成立した安全保障関連法の持つ意味合いだ。
国民の安全と領土・主権を守り抜く覚悟と態勢を持つ。日本を脅かす周辺の国々に、それを知らしめる意義も大きい。
柱となるのはこれまで禁止してきた集団的自衛権の限定行使の容認であり、国際平和構築への積極貢献も新たに位置付けた。
敗戦から立ち直ったとはいえ、戦後日本の防衛政策は他者依存の姿勢、消極的平和主義という宿痾(しゅくあ)を抱えていた。
≪さらに理解得る努力を≫
そこからの脱却を図る安保法制の見直しは、歴史的な政策転換として高く評価できる。
自衛隊がより高い機能を発揮し、日米共同の抑止力を強めることを通じ、平和への取り組みを着実に続けなければならない。
新安保法制によって、集団的自衛権の限定行使のほか、重要影響事態や国際平和支援における外国軍への後方支援、国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」などが行えるようになる。平時から日本有事まで、さまざまな危機に、切れ目なく対処することが期待される。
その際、日本を共に守る米国との絆を、いかに強いものにしておくかが問われている。どのようなときも助け合い、守り合うのが本当の仲間だ。そこに集団的自衛権を行使できるようにしておく大きな意味がある。
同盟の抑止力は強化され、米国以外の友好国との安保協力も一層充実できよう。
日本を挑発しようという国を思いとどまらせることによって、国民の安全は確実に高まる。民主党などの反対勢力による「戦争法案」「徴兵制につながる」といった決めつけは、平和や安全に無益なものだ。
もっとも、法制に対する国民の理解が深まっていないことを軽んずることはできない。安倍晋三首相も、国会審議の中で認めざるを得なかった。
自衛隊の円滑な活動には、国民の理解や支えがなくては難しい面も大きい。政府与党は引き続き、法制や日本を取り巻く厳しい安全保障環境について、国民に丁寧に説明しなければならない。
日本の安保法制への取り組みや積極的平和主義への姿勢について、世界の多くの国々が支持し、歓迎していることも併せて知らせることが重要だろう。
平成4年にPKO協力法が成立した際、世論調査では不支持が支持を上回ったが、派遣を重ねるうちに支持が広がった。
安保法制も時間を経て理解が深まるとの見方が政府内にあるが、楽観的すぎないか。比較的、成果が見えやすいPKOと異なり、戦争を抑止する活動はそれ自体が国民には見えにくいからだ。法制との関係も分かりにくい。
≪憲法改正にも着手せよ≫
国際貢献や防衛の分野で、自衛隊の活動範囲がどのように広がり、いかなる成果を上げることができるか。国民の理解や支援を得られるよう、政府は積極的に説明を行うべきだ。
中国が国際ルールに反して南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めている問題では、海上自衛隊が警戒監視活動に加わることに米国が期待を寄せている。具体的な課題にどう対応するか。近い将来、結論を出す必要があろう。
新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)に沿って、自衛隊と米軍が平素から守り合うなど、共同行動も強化される。
「想定外」が起こりやすい安全保障の世界で働く自衛隊の行動を、がんじがらめに縛るのは極めて危うい。今後、部隊行動基準などが改められるが、法律の範囲内で、行動の柔軟性はできるだけ確保しておくべきだ。
集団的自衛権の行使は、憲法解釈変更で認めた。条文改正は見送ったが、9条をはじめ憲法改正への歩みを止めてはならない。
国を守る重要な組織である自衛隊に何ら言及していない現行憲法を改め、どの国も持っている軍と自衛権を明確に規定することの重要性は何ら減じていない。
巨大な軍備をもつ中国は、年率2ケタの国防費の増額を続けてきた。日本の財政事情は厳しいが、相手の動向を勘案した備えは欠かせない。必要な予算、人員、装備の確保にも努めてほしい。
国民の安全と領土・主権を守り抜く覚悟と態勢を持つ。日本を脅かす周辺の国々に、それを知らしめる意義も大きい。
柱となるのはこれまで禁止してきた集団的自衛権の限定行使の容認であり、国際平和構築への積極貢献も新たに位置付けた。
敗戦から立ち直ったとはいえ、戦後日本の防衛政策は他者依存の姿勢、消極的平和主義という宿痾(しゅくあ)を抱えていた。
≪さらに理解得る努力を≫
そこからの脱却を図る安保法制の見直しは、歴史的な政策転換として高く評価できる。
自衛隊がより高い機能を発揮し、日米共同の抑止力を強めることを通じ、平和への取り組みを着実に続けなければならない。
新安保法制によって、集団的自衛権の限定行使のほか、重要影響事態や国際平和支援における外国軍への後方支援、国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」などが行えるようになる。平時から日本有事まで、さまざまな危機に、切れ目なく対処することが期待される。
その際、日本を共に守る米国との絆を、いかに強いものにしておくかが問われている。どのようなときも助け合い、守り合うのが本当の仲間だ。そこに集団的自衛権を行使できるようにしておく大きな意味がある。
同盟の抑止力は強化され、米国以外の友好国との安保協力も一層充実できよう。
日本を挑発しようという国を思いとどまらせることによって、国民の安全は確実に高まる。民主党などの反対勢力による「戦争法案」「徴兵制につながる」といった決めつけは、平和や安全に無益なものだ。
もっとも、法制に対する国民の理解が深まっていないことを軽んずることはできない。安倍晋三首相も、国会審議の中で認めざるを得なかった。
自衛隊の円滑な活動には、国民の理解や支えがなくては難しい面も大きい。政府与党は引き続き、法制や日本を取り巻く厳しい安全保障環境について、国民に丁寧に説明しなければならない。
日本の安保法制への取り組みや積極的平和主義への姿勢について、世界の多くの国々が支持し、歓迎していることも併せて知らせることが重要だろう。
平成4年にPKO協力法が成立した際、世論調査では不支持が支持を上回ったが、派遣を重ねるうちに支持が広がった。
安保法制も時間を経て理解が深まるとの見方が政府内にあるが、楽観的すぎないか。比較的、成果が見えやすいPKOと異なり、戦争を抑止する活動はそれ自体が国民には見えにくいからだ。法制との関係も分かりにくい。
≪憲法改正にも着手せよ≫
国際貢献や防衛の分野で、自衛隊の活動範囲がどのように広がり、いかなる成果を上げることができるか。国民の理解や支援を得られるよう、政府は積極的に説明を行うべきだ。
中国が国際ルールに反して南シナ海で人工島の軍事拠点化を進めている問題では、海上自衛隊が警戒監視活動に加わることに米国が期待を寄せている。具体的な課題にどう対応するか。近い将来、結論を出す必要があろう。
新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)に沿って、自衛隊と米軍が平素から守り合うなど、共同行動も強化される。
「想定外」が起こりやすい安全保障の世界で働く自衛隊の行動を、がんじがらめに縛るのは極めて危うい。今後、部隊行動基準などが改められるが、法律の範囲内で、行動の柔軟性はできるだけ確保しておくべきだ。
集団的自衛権の行使は、憲法解釈変更で認めた。条文改正は見送ったが、9条をはじめ憲法改正への歩みを止めてはならない。
国を守る重要な組織である自衛隊に何ら言及していない現行憲法を改め、どの国も持っている軍と自衛権を明確に規定することの重要性は何ら減じていない。
巨大な軍備をもつ中国は、年率2ケタの国防費の増額を続けてきた。日本の財政事情は厳しいが、相手の動向を勘案した備えは欠かせない。必要な予算、人員、装備の確保にも努めてほしい。