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[読売新聞] 生涯現役社会 高齢者の活躍の場を増やそう (2015年09月21日)

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日本の平均寿命は、男性80・5歳、女性86・83歳だ。今後も延びると予測される。人生90年時代の到来である。

敬老の日のきょう、世界屈指の長寿国となったことを、改めて喜びたい。

総人口に占める65歳以上の割合は25%を超え、2060年には40%となる見込みだ。

高齢化が進むに連れて、労働力人口の減少や社会保障費の膨張など、深刻な問題も生じている。

意欲のある高齢者が、能力を発揮して活躍できる場を増やし、社会の支え手になってもらう。「生涯現役社会」の実現が、超高齢社会を乗り切るカギとなる。

65歳を超えても働きたいと思っている人が、35?64歳の5割を占めている。生涯現役社会を目指すことは、高齢者一人一人の生活を充実させ、経済的に安定させる上でも重要だろう。

13年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、希望すれば65歳まで継続雇用されるようになった。だが、65歳以降の就労機会については限られるのが現状だ。

厚生労働省の検討会が6月にまとめた報告書は、生涯現役社会の実現に向け、65歳以上の継続雇用の促進や、中高年の能力開発・再就職の支援強化を打ち出した。

高齢者の知識や経験を生かし、若手の指導役にする。本人の生活パターンに合わせた柔軟な働き方を認める。こうした工夫で、65歳以上を引き続き雇用する企業が増えた。各企業が実情に応じた対策を進めてもらいたい。

働く側の意識改革も重要だ。長く働き続けるには、若いうちから将来設計を明確にし、能力の向上に取り組む必要がある。

中高年が転職しやすい労働市場の形成も求められる。

高齢者は、健康や経済力の面で個人差が大きい。多様なニーズに対応するには、自治体が地域の経済団体やNPOなどと連携し、高齢者向けの仕事を開拓する体制作りが欠かせない。

軽作業などの働き口を提供しているシルバー人材センターの機能強化も課題となる。

千葉県柏市は「生きがい就労」として、農業や福祉の仕事を創出し、高齢者に提供している。福岡県は「70歳現役応援センター」を開設し、高齢者の就労やボランティア活動を手助けしている。

介護や保育分野の人手不足を補うなど、地域の問題解決にもつながる取り組みだ。高齢者の活躍の場を広げることは、孤立防止や介護予防にも有効だろう。

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