Quantcast
Channel: 新聞社説まとめサイト
Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

[日経新聞] イランは核合意履行を確実に (2015年12月20日)

$
0
0
国際原子力機関(IAEA)の理事会は、イランによる核兵器開発疑惑の解明作業を終了する決議を全会一致で採択した。これにより、2002年の表面化以来、中東の緊張を高める要因となってきたイランの核武装疑惑はひとまず、区切りがついた。

米欧など6カ国とイランは7月、同国の核開発を大幅に縮小することで合意した。イランは合意の履行にあたり、IAEAによる疑惑解明の決着を求めてきた。米欧は対イラン経済制裁の解除は核合意の履行が条件だとする。

この機を逃してはならない。イランが真に国際社会への復帰を求めるなら、核合意を確実に履行していくことが重要だ。

IAEAはイランでは過去に核兵器開発につながる活動があったが、09年以降は兵器開発の痕跡はみあたらないとする最終報告書をまとめた。理事会はこの報告に基づいて解明作業の終了を決めた。

核合意はウラン濃縮に使う遠心分離機の削減や、濃縮済みウランの保有制限などを定めている。イランの核開発を国際監視下に置き、兵器への転用を難しくすることで歯止めをかける内容だ。

イランが国際社会に復帰する意義は大きい。中東は今、混迷を深めている。イランはシリアのアサド政権と良好な関係にある。長期化するシリア内戦の収拾や台頭する過激派組織「イスラム国」(IS)への対処にはイランの関与が不可欠だ。

イランは人口7800万人の豊かな人口に加え、原油で世界4位、天然ガスで同1位の埋蔵量を持つエネルギー大国でもある。市場としての魅力も大きい。

ただし、IAEAの最終報告が過去の兵器開発については認定したことを見過ごしてはならない。軍事転用を否定し続けたイランとの食い違いは残った。

イランは核合意を速やかに履行することはもちろん、今後も査察へ全面協力するなど真摯な姿勢を示し、IAEAとの信頼関係を築いていくことが欠かせない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 17272

Trending Articles