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[読売新聞] 飲酒喫煙の年齢 18歳解禁は理解を得られない (2015年09月22日)

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「大人」になる年齢の見直しは、様々な分野に影響が及ぶ。根拠となる法律ごとに、改正の是非を丁寧に検討することが重要である。

自民党が、民法で20歳と定めている成人年齢を18歳に引き下げるよう求める提言をまとめた。月内にも政府に提出する。

改正公職選挙法の成立で、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられることを受けたものだ。選挙権を行使する年齢と、民事上の権利や責任が生じる年齢は一致させるべきだろう。

成人年齢が18歳になると、親の同意なしに、ローンなど商取引の契約が結べるようになる。悪徳商法の被害に遭わないよう、学校での消費者教育の充実など、環境整備を進めることが欠かせない。

飲酒や喫煙を解禁する年齢については、結論を先送りした。

当初、18歳から認める案をまとめようとしたが、党内や医療関係者などから、反対論が続出したためだ。当然だろう。

厚生労働省によると、青少年期に喫煙を始めると、肺がんや心疾患にかかるリスクが大きくなる。日本医師会は、20歳未満の喫煙習慣が脳の発育にも悪影響を与え、認知症などの早期発症につながる恐れがあると警告している。

酒を飲み始める年齢が早いほど、アルコール依存症になる確率が高まるとも指摘される。

健康面への影響を踏まえれば、解禁年齢の引き下げは到底、社会の理解を得られまい。

厳しい財政状況の中、社会保障費をどう抑制するかが、大きな課題だ。その観点からも、将来的に医療費の増大を招くような制度変更はすべきでない。

飲酒や喫煙は、非行の引き金になる危険をはらむ。酒やたばこが許される18歳の生徒と、そうでない17歳の生徒が混在すれば、高校の生徒指導は混乱する。法律で認められれば、校則で禁止しても限界があるのではないか。

一方、少年法の適用年齢に関し、自民党は、20歳未満から18歳未満への引き下げを提言した。

更生を促すため、対象から外れる18歳と19歳に、刑罰より矯正教育を重視する少年法上の保護処分のような措置を講じることも求めた。妥当な内容だ。

矯正教育を行う少年院への送致や、社会内で立ち直りを図る保護観察の処分が、少年の再犯防止に果たす役割は小さくない。引き下げを前提に、どのようなケースで18歳や19歳に保護的措置を適用するのか、議論を深めたい。

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