消費税の軽減税率導入に伴う財源をめぐる与野党の論戦が始まった。
軽減税率は、食料品などの税率を低く抑え、増税に対する国民の痛税感を緩和するための制度である。安定的な財源の確保へ十分な議論を行うことが重要だ。
安倍晋三首相の頭には税収の上振れ分を充てる案があったようだが、税収は景気動向に左右されるだけに、安定財源とはいえない。まずは、歳出全体の効率化を通じ、財源を手当てする努力を尽くしてほしい。
それでも足りない場合に、初めて他の策を検討するのが物事の順序である。歳出の無駄を排除する基本姿勢を欠いたままでの財源論議は説得力を持たない。
平成29年4月に10%へ引き上げる予定の消費税率について、政府・与党は加工食品などに軽減税率を適用し、増税後も8%に据え置く方針だ。これにより1兆円の減収が生じる。
低所得者対策の見送りで4千億円は確保したものの、残る6千億円については28年度末までに決めるとされている。
安倍首相は衆院予算委員会で財源をただした野党側に対し、「税収は(第2次内閣発足から)3年間ずっと上振れている」と、税収の上振れ分を充てる考えを示唆した。これに対し、麻生太郎財務相は「税収は経済状況で下振れすることもある。安定的な財源とは言えない」と否定した。
明らかな閣内不一致となり改めて政府見解が示された結果、「上振れ分は安定財源とはいえない」と明記された。これは妥当だ。
景気に影響されない財源を事前に手当てしておくにあたり、歳出見直しが肝要となる。
国の予算はリーマン・ショック後、景気対策などによって10兆円以上も増えたままだ。増税で確保した東日本大震災の復興費用を除いても、支出の膨張は明らかだ。無駄を精査すべきだ。
与党には、たばこ増税を求める意見もある。有力案の一つだが、軽減税率導入に伴う財源の多くを他の増税で賄うことへの異論も根強いままだ。
政府内には外国為替資金特別会計の積立金の活用案も浮上した。円安ドル高でドル建て資産が膨らんでいるというが、為替市場に影響を与える恐れもある。
その場しのぎではない、落ち着いた議論を聞きたい。
軽減税率は、食料品などの税率を低く抑え、増税に対する国民の痛税感を緩和するための制度である。安定的な財源の確保へ十分な議論を行うことが重要だ。
安倍晋三首相の頭には税収の上振れ分を充てる案があったようだが、税収は景気動向に左右されるだけに、安定財源とはいえない。まずは、歳出全体の効率化を通じ、財源を手当てする努力を尽くしてほしい。
それでも足りない場合に、初めて他の策を検討するのが物事の順序である。歳出の無駄を排除する基本姿勢を欠いたままでの財源論議は説得力を持たない。
平成29年4月に10%へ引き上げる予定の消費税率について、政府・与党は加工食品などに軽減税率を適用し、増税後も8%に据え置く方針だ。これにより1兆円の減収が生じる。
低所得者対策の見送りで4千億円は確保したものの、残る6千億円については28年度末までに決めるとされている。
安倍首相は衆院予算委員会で財源をただした野党側に対し、「税収は(第2次内閣発足から)3年間ずっと上振れている」と、税収の上振れ分を充てる考えを示唆した。これに対し、麻生太郎財務相は「税収は経済状況で下振れすることもある。安定的な財源とは言えない」と否定した。
明らかな閣内不一致となり改めて政府見解が示された結果、「上振れ分は安定財源とはいえない」と明記された。これは妥当だ。
景気に影響されない財源を事前に手当てしておくにあたり、歳出見直しが肝要となる。
国の予算はリーマン・ショック後、景気対策などによって10兆円以上も増えたままだ。増税で確保した東日本大震災の復興費用を除いても、支出の膨張は明らかだ。無駄を精査すべきだ。
与党には、たばこ増税を求める意見もある。有力案の一つだが、軽減税率導入に伴う財源の多くを他の増税で賄うことへの異論も根強いままだ。
政府内には外国為替資金特別会計の積立金の活用案も浮上した。円安ドル高でドル建て資産が膨らんでいるというが、為替市場に影響を与える恐れもある。
その場しのぎではない、落ち着いた議論を聞きたい。