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[読売新聞] 春闘スタート 控え目でもベア実施がカギだ (2016年01月21日)

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高水準の賃上げを継続できるかが、デフレ脱却のカギとなろう。

経団連が、春闘に臨む経営側の交渉方針を示す「経営労働政策特別委員会報告」を公表した。3月にかけて労使交渉が本格化する。

報告は、賃上げについて、「デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現に向け、経済の好循環を回す社会的要請がある」ことを重視すべきだと明記した。

その上で、「昨年を上回る年収ベースの賃金引き上げ」の前向きな検討を求めた。賃上げに積極姿勢を示したことは評価したい。

ただ、基本給を底上げするベースアップは、賃上げ方法の多様な選択肢の一つと位置付け、昨年より慎重な姿勢をにじませた。

昨年は、過去最高の業績を背景に、大手企業で2・52%、中小企業も1・87%と高い賃上げを達成した。今年は、中国経済の減速で収益が低迷する企業も増えた。業績格差を意識したのだろう。

今春闘を「デフレ脱却と経済の好循環実現を目指す闘争」と位置付けている連合も、昨年より控えめな「ベア2%程度」の要求にとどめた。自動車総連や電機連合も昨年の「6000円以上」から「3000円以上」に下げた。

消費者物価の伸びが低迷する中で、無理な要求額を掲げることよりも、ベアの確実な獲得を優先する狙いがある。

無論、賃上げの水準や方法は、労使間の交渉で、各社の業績に応じて決めるのが原則だ。

だが、消費増税の影響で消費は伸び悩んでいる。賞与など一時金より月給を増やした方が、個人消費を押し上げる効果は大きい。

こうした労組の要求も踏まえ、「経済の好循環」を回すには、業績の良い企業は、ベアの実施に積極的に取り組むことが大切だ。

今春闘では、中小企業に賃上げの裾野を広げるとともに、非正規労働者の待遇改善にも本腰を入れねばならない。

労働者全体の4割を占める非正規労働者の時給アップや、正社員への登用によって、賃金水準を引き上げてほしい。

中国を震源とする世界の金融市場の動揺が続き、円高も進んでいる。経済情勢の先行きは読みにくいが、好業績を維持している今こそ、経営者は、人材や設備に投資して、新事業の開拓や生産性向上を図る手腕が問われる。

政府も、女性や高齢者の活用を促進するなど政策面で、民間主導の息の長い成長を後押しすることが欠かせない。

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