「いかなる困難な課題にも、果敢に挑戦する」「目標に向かって、諦めずに進む」――。
安倍首相は衆参両院での施政方針演説で、内政、外交の重要課題に正面から取り組む決意を強調した。大切なのは、安定した政権基盤を生かし、一つ一つ成果を上げることだ。
首相は、「1億総活躍社会」に関し、多様な働き方を可能にする改革を重視する考えを示した。
非正規労働者の処遇向上や正社員化を後押しし、雇用形態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」の実現を目指すという。
人口減と高齢化を克服し、社会の活力を維持する。そのために、だれもが能力を発揮できる就労機会を用意する意義は大きい。
非正規労働者の賃金の底上げは急務である。無論、終身雇用を前提に、年功序列の賃金体系で働く正社員と、時間給を基本とする非正規労働者の処遇を直ちに同一にするのは、現実的ではない。漸進的な改革を進めるべきだろう。
定年延長に積極的な企業への支援や、妊娠などが理由の職場での嫌がらせの防止も進めたい。
首相は、家族の介護を理由に離職する人をゼロにするため、50万人分の介護サービスの受け皿を整備し、25万人の介護人材を育成すると表明した。「希望出生率1・8」を達成するため、9万人の保育士を確保するとも述べた。
「1億総活躍」関連の施策は多岐にわたる。工程表を明示し、整合性を取ることが重要だ。持続可能な社会保障制度にする観点から、負担増や給付抑制など「痛み」を伴う改革も避けてはならない。
外交面で首相は、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「先送りは許されない」と強調した。
辺野古移設は、米軍の抑止力を維持しつつ、基地周辺住民の負担を軽減する現実的な方策だ。地元関係者の理解を広げる努力を粘り強く続けねばならない。
韓国の位置づけについて、昨年の演説は「最も重要な隣国」だったが、今年は「戦略的利益を共有する」と加えた。昨年末の慰安婦問題の合意を踏まえたものだ。
北朝鮮の核実験強行で、米国を交えた日韓の防衛協力の重要性は増している。日韓両政府は、関係改善の流れを踏まえ、情報共有などで協力を具体化すべきだ。
首相は、憲法改正や衆院選挙制度改革について「逃げることなく答えを出していく」と明言した。いずれも与野党の合意形成が難しい課題だ。首相は節目節目で指導力を発揮せねばならない。
安倍首相は衆参両院での施政方針演説で、内政、外交の重要課題に正面から取り組む決意を強調した。大切なのは、安定した政権基盤を生かし、一つ一つ成果を上げることだ。
首相は、「1億総活躍社会」に関し、多様な働き方を可能にする改革を重視する考えを示した。
非正規労働者の処遇向上や正社員化を後押しし、雇用形態で賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」の実現を目指すという。
人口減と高齢化を克服し、社会の活力を維持する。そのために、だれもが能力を発揮できる就労機会を用意する意義は大きい。
非正規労働者の賃金の底上げは急務である。無論、終身雇用を前提に、年功序列の賃金体系で働く正社員と、時間給を基本とする非正規労働者の処遇を直ちに同一にするのは、現実的ではない。漸進的な改革を進めるべきだろう。
定年延長に積極的な企業への支援や、妊娠などが理由の職場での嫌がらせの防止も進めたい。
首相は、家族の介護を理由に離職する人をゼロにするため、50万人分の介護サービスの受け皿を整備し、25万人の介護人材を育成すると表明した。「希望出生率1・8」を達成するため、9万人の保育士を確保するとも述べた。
「1億総活躍」関連の施策は多岐にわたる。工程表を明示し、整合性を取ることが重要だ。持続可能な社会保障制度にする観点から、負担増や給付抑制など「痛み」を伴う改革も避けてはならない。
外交面で首相は、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「先送りは許されない」と強調した。
辺野古移設は、米軍の抑止力を維持しつつ、基地周辺住民の負担を軽減する現実的な方策だ。地元関係者の理解を広げる努力を粘り強く続けねばならない。
韓国の位置づけについて、昨年の演説は「最も重要な隣国」だったが、今年は「戦略的利益を共有する」と加えた。昨年末の慰安婦問題の合意を踏まえたものだ。
北朝鮮の核実験強行で、米国を交えた日韓の防衛協力の重要性は増している。日韓両政府は、関係改善の流れを踏まえ、情報共有などで協力を具体化すべきだ。
首相は、憲法改正や衆院選挙制度改革について「逃げることなく答えを出していく」と明言した。いずれも与野党の合意形成が難しい課題だ。首相は節目節目で指導力を発揮せねばならない。