川内原子力発電所(鹿児島県)で重大事故時の対応拠点となる施設を建設する計画の見直しをめぐり、九州電力と原子力規制委員会の間であつれきが生じている。
川内原発は昨年8月に1号機、10月に2号機が再稼働した。九電は再稼働に向けた安全審査(適合性審査)の際には計画見直しについて言及していなかった。年末になって「より安全性が高まる」と見直しを規制委に申請したが、計画変更が必要な根拠は明確でない。説明不足は明らかだ。
安全審査でいったん了承された施設の整備を再稼働した後ですぐ取り消すようでは、審査に臨む同社の誠実さが疑われる。東京電力福島第1原子力発電所の事故で失われた原子力への信頼回復にもマイナスだと言わざるをえない。
問題の施設は「免震重要棟」と呼ばれる。地震の揺れを吸収する免震機能を持ち、重大事故に際しても対応ができるよう放射線を遮る構造を備える。
川内原発敷地内には、揺れても壊れない耐震構造の「緊急時対策所」がすでにある。この「対策所」を2015年度中に規模の大きな免震重要棟に置き換える、と九電は説明していた。
福島原発事故の経験から、大勢の運転員や作業員が集まって長期間にわたり安全に働ける場所が必要、とわかったからだ。
ところが同社は昨年12月、建て替えを撤回し代替案を提示した。既存施設の隣接地に耐震構造の補助施設を建て増し、両者を渡り廊下で結んで2棟合わせて免震重要棟の代わりとするという。
同社は免震構造の建物を建てた経験がなく、耐震構造の補助施設を建てる方が早く完成でき、安全性が高まると説明している。一方で完成時期は明示していない。規制委はこの説明に納得せず、申請の出し直しを求めている。
年度内に完成させるはずの免震重要棟を今になって撤回し、代替施設の方がより早く完成できるとの主張は理屈が通らない。ていねいな説明を求める。
川内原発は昨年8月に1号機、10月に2号機が再稼働した。九電は再稼働に向けた安全審査(適合性審査)の際には計画見直しについて言及していなかった。年末になって「より安全性が高まる」と見直しを規制委に申請したが、計画変更が必要な根拠は明確でない。説明不足は明らかだ。
安全審査でいったん了承された施設の整備を再稼働した後ですぐ取り消すようでは、審査に臨む同社の誠実さが疑われる。東京電力福島第1原子力発電所の事故で失われた原子力への信頼回復にもマイナスだと言わざるをえない。
問題の施設は「免震重要棟」と呼ばれる。地震の揺れを吸収する免震機能を持ち、重大事故に際しても対応ができるよう放射線を遮る構造を備える。
川内原発敷地内には、揺れても壊れない耐震構造の「緊急時対策所」がすでにある。この「対策所」を2015年度中に規模の大きな免震重要棟に置き換える、と九電は説明していた。
福島原発事故の経験から、大勢の運転員や作業員が集まって長期間にわたり安全に働ける場所が必要、とわかったからだ。
ところが同社は昨年12月、建て替えを撤回し代替案を提示した。既存施設の隣接地に耐震構造の補助施設を建て増し、両者を渡り廊下で結んで2棟合わせて免震重要棟の代わりとするという。
同社は免震構造の建物を建てた経験がなく、耐震構造の補助施設を建てる方が早く完成でき、安全性が高まると説明している。一方で完成時期は明示していない。規制委はこの説明に納得せず、申請の出し直しを求めている。
年度内に完成させるはずの免震重要棟を今になって撤回し、代替施設の方がより早く完成できるとの主張は理屈が通らない。ていねいな説明を求める。