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[東京新聞] 米大統領選 大国の悲鳴が聞こえる (2016年02月03日)

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米大統領選候補者選びの初戦、アイオワ州党員集会では民主、共和両党とも急進的な主張をする候補が支持を集めた。異例の展開は広がる格差、テロへの不安というまさに世界問題の表出でもある。

アイオワ州党員集会と九日のニューハンプシャー州予備選は、十一月まで続く大統領選の流れを左右するとして重視されている。

民主党では、民主社会主義者を自称するサンダース上院議員が、大統領夫人や国務長官として、ワシントンでの経験豊富なクリントン氏と、最後まで接戦を繰り広げた。出口調査では、年齢層が低いほど支持率が高かったという。公立大学の授業料無償化など格差解消の訴えが、若者の心に響いたのだろう。

共和党では保守強硬派のクルーズ上院議員が勝ったが、メキシコ移民差別や「イスラム教徒の入国禁止」などの発言で物議をかもす不動産王トランプ氏も小差で迫った。現状に不満を抱く白人層の人気を博したとみられる。

クリントン氏はサンダース氏の公約実現に疑問を投げ掛ける。

保守強硬派の草の根運動「茶会」を代表するクルーズ氏は、共和党内では反主流派だ。政治経験がないトランプ氏の過激な主張は、どこまで真に受けていいのか分からない。

これらの候補者が支持を集めたのは、既成政治への不満や政治不信の表れといっていいだろう。

オバマ政権は、国民皆保険を目指した医療保険改革法(オバマケア)などを実現させたが、上下両院で過半数を占める共和党との溝は深まり、政治は停滞している。

さらに、イラクやアフガニスタンからの米軍撤退を進める一方で、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を招いた。周辺国の懸念をよそに南シナ海岩礁埋め立てなどを進める中国や、ウクライナのクリミア半島を併合したロシアの強硬姿勢に、歯止めをかけることもできない。

米国の威信は低下している。

シリア内戦など懸案解決のめども立たず、難民はあふれ、米国のみならず、世界の悲鳴がやまないような状態だ。

米大統領選の行方は、国際的にも大きな影響をもたらす。

トランプ氏らの過激な発言で注目は高まっているが、候補者らがポピュリズムを競い合うような論戦には危惧を感じる。

選挙戦は、まだ始まったばかりだ。目配りの利いた政策論議を望みたい。

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