見た目はもっともらしいが、中身は大違いということが世の中にはよくある。自民党がまとめた衆院選挙制度改革の原案はその典型である。これで本当に有権者の納得を得られると思っているのだろうか。安倍政権の信頼にかかわる問題である。
「10議席の削減を実現する。断固、それに向かって進みたい」。自民党が開いた選挙制度に関する合同会議の冒頭、細田博之幹事長代行はこう力説した。ここだけ聞くと、第三者機関が作成した1票の格差是正に関する答申の実現にただちに踏み出すかのようだ。
細田氏がいう「断固」とは、2020年にある次回の国勢調査に沿う形での定数削減を検討するというものだ。10年の国勢調査に基づき、ただちに(1)小選挙区を7増13減(2)比例代表は1増5減――とする答申とは似ても似つかない。当面は都道府県ごとの小選挙区数は変えず、区割りを変更することで格差の縮小に努めるという。
10年ごとの大規模な国勢調査のあとに本格的な定数是正をし、中間年にある簡易な国勢調査のあとは区割り変更で対応する。答申にはそう書いてあるが、これは7増13減のあとも5年ごとに見直し続けよ、という意味だ。
今月末に昨年の簡易国勢調査の速報値が発表になるが、だから当面は区割り変更のみでよいというのはこじつけである。最高裁は12年と14年の衆院選の1票の格差をともに違憲状態と判断している。
日本の国会議員は海外と比べ、多いとはいえない。そこは第三者機関も認めたうえで、12年衆院選で自民党などが議席減を公約した事実は重いとして10減を求めた。問われているのは、約束を守る党なのかという点だ。国会で「答申を尊重する立場にある」と答弁してきた安倍晋三首相の言葉はどこにいってしまったのだろうか。
合同会議では「我々は議席を減らすと言ってきた」と答申受け入れを促す発言もかなりあった。党執行部は公約の重みを忘れてはならない。
「10議席の削減を実現する。断固、それに向かって進みたい」。自民党が開いた選挙制度に関する合同会議の冒頭、細田博之幹事長代行はこう力説した。ここだけ聞くと、第三者機関が作成した1票の格差是正に関する答申の実現にただちに踏み出すかのようだ。
細田氏がいう「断固」とは、2020年にある次回の国勢調査に沿う形での定数削減を検討するというものだ。10年の国勢調査に基づき、ただちに(1)小選挙区を7増13減(2)比例代表は1増5減――とする答申とは似ても似つかない。当面は都道府県ごとの小選挙区数は変えず、区割りを変更することで格差の縮小に努めるという。
10年ごとの大規模な国勢調査のあとに本格的な定数是正をし、中間年にある簡易な国勢調査のあとは区割り変更で対応する。答申にはそう書いてあるが、これは7増13減のあとも5年ごとに見直し続けよ、という意味だ。
今月末に昨年の簡易国勢調査の速報値が発表になるが、だから当面は区割り変更のみでよいというのはこじつけである。最高裁は12年と14年の衆院選の1票の格差をともに違憲状態と判断している。
日本の国会議員は海外と比べ、多いとはいえない。そこは第三者機関も認めたうえで、12年衆院選で自民党などが議席減を公約した事実は重いとして10減を求めた。問われているのは、約束を守る党なのかという点だ。国会で「答申を尊重する立場にある」と答弁してきた安倍晋三首相の言葉はどこにいってしまったのだろうか。
合同会議では「我々は議席を減らすと言ってきた」と答申受け入れを促す発言もかなりあった。党執行部は公約の重みを忘れてはならない。