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[日経新聞] 投票しやすい環境づくりを (2016年02月22日)

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選挙は国民の声をじかに聞く重要な機会である。参加できない、参加しにくい有権者が多くいるようでは、民意を集約したことにならない。投票しやすい環境づくりは民主主義の土台である。

住民票を移すと新住所で選挙人名簿に載るまで3カ月かかる。18歳選挙権が6月に施行されるが、新有権者の一部が夏の参院選で投票できないおそれがあった。公職選挙法の改正で旧住所での投票が可能になったことは喜ばしい。

とはいえ、新住所で投票できるようになるまで時間がかかる仕組みは手つかずのままだ。住民基本台帳の全国ネットワークができているのだから、住民票の異動の処理はこれまでよりもずっと容易になっているはずだ。

有権者は現在、住所ごとに割り振られた投票所でしか投票できない。駅やショッピングセンターに「共通投票所」を設けて当該自治体の住民は誰もがそこで投票できるようにすれば便利になる。

全投票所をオンラインでつないで投票済みの有権者をリアルタイムで把握できるようにすれば二重投票は防げる。与野党は夏の参院選に間に合うように法改正を実現させてほしい。

法の運用で改善すべき点もいくつかある。1995年の参院選の投票率が国政選で最低の44.52%に落ち込んだことから、98年に投票終了時間を午後6時から8時に遅らせた。ところが、近年は6時で繰り上げ終了する地方自治体が急増している。

自治体関係者と話すと、「投票を早く終えれば、余裕をもって開票できる」という。期日前投票や在外投票など投票日以外に投じられる票が増えるにつれ、これらの数え忘れや二重加算といった開票ミスが増えているのは事実だ。しかし、それを投票時間延長のせいにするのは筋違いである。

平成の大合併で自治体が減り、投票所数もこの20年で1割ほど少なくなった。ひとりでも多くの有権者が投票所に来やすくする。そのための万策を尽くすべきだ。

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