仕事の内容が同じなら正社員も非正規社員も賃金を同じにする。そうした「同一労働同一賃金」を、政府は5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」の柱の一つにするという。
政府の言う同一労働同一賃金の意味はいまひとつはっきりしないが、賃金の決め方で重要なのは、その人がどれだけ付加価値を生んでいるかという生産性の視点である。生産性の高い人には高い賃金を払うという原則を、今後の政策で明確にしてもらいたい。
同一労働同一賃金の考え方は欧州で定着している。欧州連合(EU)指令により、パートや派遣社員など非正規労働者について、職務が同じ正規社員との間で待遇に格差をつけることを禁じている。
だがこのルールは、国によって柔軟に運用されている。職務が同じでも、勤続年数が長く経験を積んでいたり、資格を取得していたりする人は賃金を多めにしているなどの例がある。働く人が自らの技能の向上に取り組む動機づけになるためだ。
日本でも仕事が同じだからという理由で単純に賃金を同じにするのではなく、賃金制度づくりでは働く人の生産性向上を促す工夫が要る。人が付加価値を生む力を高めることが、賃金の上昇や経済の活性化には欠かせないからだ。
政府が同一労働同一賃金を掲げる背景には、正社員と非正規社員の待遇格差が問題になっていることがある。だが格差の是正には、政策面では職業訓練の充実などを通じて非正規社員の生産性向上を支援することが確実な道だ。
経営者は正社員と非正規社員の処遇の違いについて、その差がどんな理由によるものか、きちんと説明できなければならない。企業に説明責任を求めていくことが不合理な格差の解消につながろう。
賃金のあり方をめぐる今回の議論は正社員の生産性を考える機会でもある。日本の正社員は成果を生むための専門性の不足や長時間労働の非効率さが指摘される。
産業構造の変化に合わせ、新しい技能を身につける機会を増やしたい。働いた時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度を設け、企業が早く活用できるようにすることも求められる。
正社員も非正規社員も賃金を増やすには企業が持続的に成長する必要がある。政府の同一労働同一賃金への施策は注視したいが、問われているのは経営者の手腕だ。
政府の言う同一労働同一賃金の意味はいまひとつはっきりしないが、賃金の決め方で重要なのは、その人がどれだけ付加価値を生んでいるかという生産性の視点である。生産性の高い人には高い賃金を払うという原則を、今後の政策で明確にしてもらいたい。
同一労働同一賃金の考え方は欧州で定着している。欧州連合(EU)指令により、パートや派遣社員など非正規労働者について、職務が同じ正規社員との間で待遇に格差をつけることを禁じている。
だがこのルールは、国によって柔軟に運用されている。職務が同じでも、勤続年数が長く経験を積んでいたり、資格を取得していたりする人は賃金を多めにしているなどの例がある。働く人が自らの技能の向上に取り組む動機づけになるためだ。
日本でも仕事が同じだからという理由で単純に賃金を同じにするのではなく、賃金制度づくりでは働く人の生産性向上を促す工夫が要る。人が付加価値を生む力を高めることが、賃金の上昇や経済の活性化には欠かせないからだ。
政府が同一労働同一賃金を掲げる背景には、正社員と非正規社員の待遇格差が問題になっていることがある。だが格差の是正には、政策面では職業訓練の充実などを通じて非正規社員の生産性向上を支援することが確実な道だ。
経営者は正社員と非正規社員の処遇の違いについて、その差がどんな理由によるものか、きちんと説明できなければならない。企業に説明責任を求めていくことが不合理な格差の解消につながろう。
賃金のあり方をめぐる今回の議論は正社員の生産性を考える機会でもある。日本の正社員は成果を生むための専門性の不足や長時間労働の非効率さが指摘される。
産業構造の変化に合わせ、新しい技能を身につける機会を増やしたい。働いた時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度を設け、企業が早く活用できるようにすることも求められる。
正社員も非正規社員も賃金を増やすには企業が持続的に成長する必要がある。政府の同一労働同一賃金への施策は注視したいが、問われているのは経営者の手腕だ。