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[東京新聞] 温暖化対策計画 未来を思い描けない (2016年03月05日)

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COP21で結ばれたパリ協定では、先進国、新興国、途上国それぞれに、全員参加で温暖化対策に取り組むことを取り決めた。歴史的前進だった。

二〇三〇年までに一三年に比べて26%、温室効果ガスを減らします−。これが日本の削減目標だ。

一九九〇年比で比べると、日米欧の排出量は、それぞれ14%、27%、40%の減。国際的な評価は高くない。

政府の「地球温暖化対策計画」は、そんな目標達成の裏付けとなる国内対策案だ。

それによると、家庭内で、これまでより約四割減らすという。

一方で産業部門の削減率は7%にとどまっている。省エネがすでに進んでいることや、今後の経済成長を見越してのことらしい。大量排出源である産業界には配慮して目標を立てたということか。

欧州連合(EU)と米国は、国内総生産(GDP)当たりの排出量を一三年までに九〇年比で四割以上減らしたが、日本は一割程度。むしろ、産業界の奮起こそ、技術革新の糧となり、低炭素市場を切り開くことになるはずなのに。

エネルギー部門では28%の減。かなりの原発再稼働、新増設まで見込んだ数字ではないか。

計画には、すでに閣議決定されている五〇年までに国内で80%削減という長期目標も明記した。

しかしそれも今の時点では、非現実的というしかない。温暖化がもたらす災害を防ぎえないということだ。

必要なのは、小手先の数字合わせなどではなく、化石燃料に依存する社会から低炭素社会へ向かう大胆な構造改革だ。

COP21は、化石燃料の時代から再生可能エネルギーの時代へ世界が向かう転換点でもあった。3・11を経験した日本に原発という選択肢はあり得ない。

家庭内で省エネに取り組むことはいい。私たちは3・11の教訓を受け止めて、すでに努力を始めている。

政府に示してほしいのは、その励みになるような、石油や石炭に、もちろん原発にも頼ることなく、太陽や風や大地の恵みを受けて、豊かさを維持することが可能な社会の未来図なのだ。

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