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[読売新聞] 米韓軍事演習 抑止力強化が「北」の暴発防ぐ (2016年03月08日)

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朝鮮半島の緊張が高まる中、北朝鮮の暴発を防ぐには、米韓同盟の抑止力を適切に体現することが欠かせない。

米韓両軍が、合同演習を韓国各地で開始した。毎春恒例の演習だが、今回は北朝鮮の核実験と長距離弾道ミサイル発射を受けて過去最大規模となる。参加兵力は計31万人を超す。

米軍が原子力空母やステルス戦略爆撃機などを投入するほか、強襲揚陸艦を用いた米韓海兵隊の上陸訓練も実施される。韓国入りした米特殊部隊が要人を標的にした訓練を行うとも伝えられる。

朝鮮戦争のような大規模な地上戦だけでなく、多様な有事シナリオに備える狙いがある。先制攻撃も辞さない構えを取り、北朝鮮に軍事行動を自制させるために強い警告を発したと言えよう。

米国側には、核爆弾搭載可能な戦略爆撃機などを展開することで、「核の傘」の有効性を示し、韓国内の一部で浮上する核武装論を沈静化する狙いもあろう。

米韓演習に対して、北朝鮮の国防委員会は「総攻勢に入る」との声明を出し、緊張を高めた。「米本土を標的にする強力な核攻撃手段が恒常的な発射待機状態にある」とも挑発した。

国連安全保障理事会が制裁決議を採択した際には、朝鮮中央通信が「核弾頭をいつでも発射できるように準備すべきだ」との金正恩第1書記の言葉を伝えていた。

北朝鮮による核弾頭小型化の実態は不明だが、核攻撃の脅しで、米国と同盟国を揺さぶろうとするのは、北朝鮮の常套(じょうとう)手段だ。

金政権は米韓演習を通じ、圧倒的な軍事力の差を目の当たりにする。いかに強がっても、攻撃を仕掛ければ、反撃によって体制崩壊が避けられないことを再認識するのではないか。

米韓同盟の将来を占う試金石が在韓米軍へのミサイル防衛システム、最終段階高高度地域防衛(THAAD)の配備構想だ。米韓両国は今月、公式協議を始めた。

問題は、中国が配備に反対していることである。THAADのレーダーが中国軍の動向も監視する事態を警戒するためだ。韓国は中国に配慮し、米国との協議に消極的だったが、北朝鮮の核実験を機に方針転換した。

米韓は、中国の介入に左右されず、協議を進めるべきだ。

朝鮮半島の安定は日本の安全保障とも密接に関わる。日韓両国は、懸案の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の早期締結など、防衛協力を強化せねばならない。

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