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[読売新聞] 被災地の教育 古里再生へ希望を育みたい (2016年03月08日)

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古里の再生に、主体的に取り組む子供たちを育てることが、被災地の復興への希望となろう。

東日本大震災の被災地で、地域が抱える課題への理解を深め、自分たちで解決策を探る教育が進んでいる。

東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きた福島県双葉郡の広野町に昨年4月、県立ふたば未来学園高校が開校した。現在、1年生約150人が学ぶ。

授業では、復興の在り方を考える「ふるさと創造学」や、役所や病院、東電などを訪ねて現状を聞くフィールドワークを実施している。地域住民が交流できるカフェを作ろうと、部活動の中で計画を練る生徒もいるという。

過酷な現実を学び、そこから地域の再生策を考える。復興を長期的に担う人材を育成するうえで、有効な取り組みだろう。

岩手県大槌町には今年度、小中一貫校が設けられた。児童の減少に伴って学校を集約し、教育の質を維持するのが目的だ。地域を学ぶ授業「ふるさと科」もカリキュラムに組み込まれている。

宮城県立松島高に2014年度に設けられた観光科では、松島の観光振興に貢献する人材の養成が期待される。県立多賀城高には4月に、地域防災を学ぶ災害科学科が新設される。

被災地発のこうした教育モデルは、人口減に悩む各地の学校にとっても参考になるはずだ。

教育機関の整備は進みつつあるが、被災地には依然、大震災後の環境の変化に順応できない児童・生徒がいる。不登校となる子供の数は、増加を続けている。

小中学生1000人あたりの不登校の割合は、14年度に福島県で11・6人に上る。震災直前より約3割増えている。岩手、宮城両県でも、1割から2割の増加だ。

文部科学省は今年度、約1000人のスクールカウンセラーを被災地に派遣している。教師や養護教諭らと連携し、子供たちの悩みに耳を傾けながら、心のケアを続けていきたい。

原発事故後、子供の肥満傾向が続いていた福島県で、今年度に改善がみられたのは朗報だ。

専門家を学校に派遣し、保健や食育、体育の指導を充実させた結果だ。除染が進み、屋外活動への抵抗感が薄らいだことも関係しているのだろう。

校庭に仮設住宅が立っていたり、手狭な仮設校舎を使っていたりする学校は、なお多い。子供が思い切り運動できる環境を、さらに整備していく必要がある。

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