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[日経新聞] トルコの新聞社接収への懸念 (2016年03月08日)

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トルコの司法当局が政権に批判的な有力紙ザマンを政府の管理下に置くことを決め、支持者らが抵抗する本社を警官隊が制圧した。

懸念すべき事態である。欧州と中東のつなぎ目に位置するトルコの安定は地域に不可欠だ。政権が報道や言論に介入し、強権的な色彩を強めているとすれば、影響は一国にとどまらない。

ザマン紙はエルドアン大統領と敵対するイスラム教指導者ギュレン師に近いとされる。大統領の出身母体である与党、公正発展党(AKP)はギュレン師を支持する勢力と協力関係にあったが、次第に対立するようになった。

ダウトオール首相は、ザマン紙を政府管理下に置いたのは「クーデターを企てた相手への正当な措置」と主張する。しかし、催涙弾や放水車を使って支持者を力ずくで排除する様は、報道の自由を損なう行為と言わざるをえない。

混迷する中東にあってトルコが成長を続けてきたのは、AKP政権が国民の幅広い支持を得て政治が安定したことが大きい。しかし、近年は政権に批判的なジャーナリストを拘束し、反政府デモを力で押さえ込むなど強圧的な対応が目立つ。2002年から続く長期政権に安住し、国民の声を聞く姿勢を見失っていないだろうか。

トルコには内戦が続くシリアから200万人超の難民が流入した。一部はトルコ経由で欧州へ向かう。過激派組織「イスラム国」(IS)やクルド人反政府勢力による大規模テロも頻発している。

シリア内戦の収拾と難民問題、IS掃討の3つは密接につながる。並行して解決することが重要であり、いずれもトルコの積極的な関与がなければ進まない。

それにはまず、トルコ国内が安定することだ。国際社会はトルコが直面する難民やテロの問題で協力しつつ、今回のような事態には苦言を呈することも必要だろう。

安倍晋三首相は13年以降、トルコを3回訪問した。エルドアン氏との良好な関係をトルコの安定実現に生かしていくことが大切だ。

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