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[日経新聞] 意欲的な農家と企業で農地を生かせ (2016年03月08日)

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規模拡大や新規参入をめざし、農地がほしいと考える農家や農業法人は多い。一方、離農による耕作放棄地は富山県並みの面積に拡大している。

政府は農地減少を最小限にとどめ、2025年時点で440万ヘクタールを維持する。同時に意欲的な農家などが利用する農地の割合を直近の5割から8割に引き上げる。

農業人口が減少しても農地を集約・大規模化すれば生産性の向上につながる。日本の農業の競争力を高めるうえで欠かせない課題だ。農地を必要な人に集め、生かすために政府は規制改革などの政策を総動員すべきだ。

これを達成するにはまず、農地集約のけん引役として都道府県ごとに設立した農地の中間管理機構(農地バンク)のてこ入れが必要だ。農地バンクが15年度に貸し出した農地は初年度の3倍に増えている。それでも年9万ヘクタールほどで、他の手法と合わせ年14万ヘクタールの集約をめざす目標には力不足だ。

熊本県では農地バンクと農業法人の団体が手を組み、大規模な法人が相次いで誕生している。こうした取り組みを他の都道府県に広げる努力が必要だ。政府は多額の予算をかける農地バンクを実績で厳しく評価し、問題点を改善してもらいたい。

農地が農地バンクに集まりやすいよう17年度から耕作放棄地への課税を強化し、貸し出した農地の課税は軽減する。離農した「土地持ち非農家」が公共工事の買い上げなどを期待し、農地を抱え込む現状は是正して当然だ。

この政策の成否は、農地が本当に利用されているかを調べる地域ごとの農業委員会がカギを握る。農業委員会が相変わらず農地の有効活用に障害となるのであれば、機能を自治体に移管すべきだ。

国家戦略特区で企業が農地を所有できるようにした安倍晋三首相の決断は評価できる。企業の農地所有は農業分野で最も硬い岩盤だったからだ。農業活性化のためにできるだけ参入障壁を取り除き、企業の持つ技術力や資本力を利用すべきだ。

せっかく切り開いた突破口を特区だけの例外にしてはならない。安倍首相は国家戦略特区諮問会議で「安倍政権の規制改革に終わりはない」と強調した。その言葉通り、企業の農地所有に付けられた期限の制約などを取り除き、全国規模で規制緩和を進めて企業のやる気を伸ばしてもらいたい。

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