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[読売新聞] 自衛隊震災派遣 対処力向上へ自治体と連携を (2016年03月09日)

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大規模災害に的確に対処するには、自衛隊と関係機関が平時から緊密に連携し、様々な事態に備える体制を構築しておくことが欠かせない。

東日本大震災の被災者救助・支援活動の中核を担った陸上自衛隊東北方面総監部(仙台市)は、災害対応訓練「みちのくALERT」の拡充を図っている。

2014年11月には、宮城沖で巨大な地震と大規模な津波が発生した想定で、負傷者の救出や搬送、インフラ復旧などの実動訓練を実施した。陸海空3自衛隊、東北6県の59自治体、警察などに加え、米、豪両軍も参加した。

12、13年の図上訓練で自衛隊と関係機関が迅速に情報共有し、人員を動かす仕組みを考案した。

どこに救出すべき被災者がいるのか。どんな救援物資が不足し、その物資がどこにあるのか。こうした情報をいち早く適切に伝える態勢を作ることが、人命救助や支援活動の成否を左右する。

今年11月には再び図上訓練、18年には実動訓練が予定される。

訓練を重ね、反省点を検証する。対処計画を修正し、新たな訓練に臨む。こうした地道な作業の繰り返しこそが、地域全体の災害対処の総合力を高めるはずだ。

例えば、被災地では、自衛隊の燃料タンク車が製油所など民間施設から直接補給することも想定される。このため、ノズルなどの「互換性」が重要だ。実際、訓練では一部で給油できなかった。

こうした不具合を着実に改善することが訓練の意義でもある。

首都直下地震や南海トラフ巨大地震への備えも急務だ。東北の取り組みは他の地域の参考となろう。自衛隊と関係機関が足並みをそろえ、その能力を最大限に活用できるよう、効果的な役割分担と意思疎通に努めてもらいたい。

東日本大震災では、米軍が「トモダチ作戦」を展開し、自衛隊の輸送任務などに全面協力した。

これを踏まえ、昨年4月策定の新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)に「大規模災害時の協力」が明記された。その後、自衛隊と米軍の協議機関「同盟調整メカニズム」が常設化された。

災害対応でも、日米の連携を一段と強化したい。

米軍普天間飛行場に配備中の輸送機オスプレイは、速度、輸送量などの性能が輸送ヘリより格段に高い。陸自も18年度までに、オスプレイ17機を導入する予定だ。

日米でオスプレイを有効活用する環境を整えれば、人命救助や物資輸送で威力を発揮しよう。

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