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[読売新聞] 温暖化対策法 改正で省エネの裾野広げよう (2016年03月09日)

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二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減は、省エネにつながる。国民一人ひとりが、可能な範囲で着実に取り組むことが大切だ。

政府は、地球温暖化対策推進法改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

日本は、温室効果ガスの排出量を2030年度までに13年度比で26%削減する目標を掲げている。既に産業界などで高水準の省エネが進んでいるだけに、目標達成は決して容易ではない。

改正案が、国民に対する普及啓発の強化を柱に据え、省エネに取り組む裾野を一層、広げようという狙いは理解できる。

改正案に基づき、排出削減の具体的な道筋を提示したのが、政府が先に原案をまとめた「地球温暖化対策計画」だ。この中で、オフィスなどの業務部門と家庭部門のCO2排出量をそれぞれ4割削減するよう求めている。

対策計画が示したクールビズの徹底や公共交通の活用など、エネルギーの無駄を省く行動の推進がカギとなる。高効率の冷蔵庫やエアコン、エコカーなどをさらに普及させることも重要だ。

その際、留意すべきは、国民の負担感を出来るだけ和らげることだ。補助金や税優遇などの施策を効果的に講じる必要がある。

新素材の開発も欠かせない。植物繊維から作るセルロースナノファイバーは、強くて軽いため、車の軽量化につながる。高性能な次世代の蓄電池や半導体の研究開発も進んでいる。

産学官が連携し、実用化への技術開発を加速させたい。

対策計画は、政府が打ち出した将来の電源構成の実現も求めている。30年の原発の比率は20?22%とされている。

CO2を排出しない原発は、温暖化対策上、極めて重要なエネルギーである。安全が確認された原発の再稼働だけでなく、新増設も着実に進めるべきだ。

風力や太陽光などの再生可能エネルギーも、CO2を排出しないメリットがあるが、発電コストや安定供給などの面で、克服すべき課題は多い。

対策計画には、50年までに排出量を80%削減するという長期目標も盛り込まれている。先進国間で共有している削減率だ。

達成するためには、化石燃料に依存しない「脱炭素社会」の構築が前提となる。水素エネルギーを使う燃料電池や、CO2の地下貯留など、新たな技術の開発を進めなければならない。

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