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[毎日新聞] 野球賭博 巨人の調査は甘過ぎる (2016年03月10日)

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公式戦の開幕を約2週間後に控えたプロ野球への不信感を広げる新たな不祥事が発覚した。

巨人の野球賭博問題で、日本野球機構(NPB)から無期の失格処分を受けた笠原将生元投手ら3選手以外にも賭けをしていた現役選手がいた。入団5年目の高木京介投手で、笠原元投手に誘われ、2年前の公式戦8〜9試合を対象に賭けを行い、計50万〜60万円負けていたことを認めた。巨人戦に賭けたことはなく、八百長(敗退行為)は否定した。

調査が十分ではなかった責任を取って球団の渡辺恒雄最高顧問、白石興二郎オーナー、桃井恒和会長は辞任する。問題の重大さを認識しているのであれば責任者として公の場で説明を行い、謝罪すべきだ。いずれにしても球団首脳が交代して済む問題ではない。

新たな関与者が現れる可能性について巨人は記者会見で「いろいろ調査が難航している。今後も調査を続けていく」として否定しなかった。見過ごせない発言だ。疑惑を残したままではファンも納得できない。

巨人では日常的に賭け事が行われていたことがNPBが昨秋に実施した調査で判明している。2軍球場のロッカールームで3選手を含む約10人が金銭を賭けてトランプなどを行い、黙認されていた。野球賭博の背景には、こうしたモラルの低下があったのではないか。根は深い。

選手たちを指導、教育する立場にある球団の調査も甘かった。昨秋に3選手の野球賭博への関与が発覚した後、すべての選手、スタッフに聞き取り調査を実施したが、新たな関与者は見つけられなかった。

先月下旬、週刊誌の取材をきっかけに高木投手から事情を聴いた際も当初は否定された。高木投手を賭博に誘った笠原元投手は調査への協力を拒んでおり、賭博の仲介役でNPBが「野球賭博常習者」と認定した飲食店経営者の男性は電話にすら出ないという。しかも飲食店経営者は高木投手に対して口裏合わせを提案するなど隠蔽(いんぺい)工作を行っていた。

NPBの調査も不十分だった。飲食店経営者らから十分な協力が得られず、背後に暴力団など反社会的勢力とのつながりがあるかどうか確認できなかった。3選手以外にも巨人のコーチや選手計6人が飲食店経営者らと面識がある可能性が分かったが、聴取だけで済ませた。

強制力を持たない調査の限界だったとはいえ、巨人同様に事実を解明する気があったのか疑わしい。

巨人選手の行為は賭博罪の疑いがあり、警察が捜査を進めている。再発防止に向けた取り組みが球界全体で行われているが、信頼回復には徹底した事実の解明が欠かせない。

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