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[日経新聞] 総合電機の看板下ろす東芝 (2016年03月20日)

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経営再建中の東芝が今後の事業計画を発表した。中核部門と位置づける半導体メモリー事業に重点投資する一方で、優良部門の医療機器事業や「会社の顔」である白物家電事業の売却を決めた。これまでこだわってきた総合電機の看板を捨てて再出発する東芝の行方に注目したい。

今回の東芝の計画は、事業の「選択と集中」という点で一定の踏み込みを見せた。同社を長年支えてきた家電事業を中国家電大手に売却することについて、室町正志社長は「じくじたる思い」としながらも、「構造改革の一環として断行する」と述べた。

医療機器子会社の東芝メディカルシステムズは6655億円でキヤノンに譲渡する。東芝にとっては売却益を手にすることで手薄になった自己資本を補強でき、キヤノンは成長が期待できる医療関連市場に有力な足場を築ける。

この再編を機に欧米に見劣りする日本の医療機器の国際競争力が改善することを期待したい。

こうした事業再編は本来ならもっと早く着手すべきだった。ライバルの日立製作所は世界金融危機後の2009年3月期の巨額赤字計上を機に、テレビ事業からの撤退など構造改革を進めた。

東芝はそれより7年遅れだ。利益の水増しによってビジネスの実態から目を背けることで、貴重な時間を浪費した。

世界に目を広げれば、日本の電機メーカーにとってお手本的存在である米ゼネラル・エレクトリックも傘下の白物家電事業を中国企業に売却する。事業構成の絶え間ない見直しは経営者の重要な仕事である。

今回の事業再編は東芝再生の出発点にすぎない。「2016年度の全事業黒字化」など、計画に盛り込んだ公約を本当に達成できるのか。あるいはさらなる減損は発生しないのか。こうした点を株式市場は注視している。

何人もの財界トップを輩出した名門企業であっても、一度失った信頼の回復は容易ではない。

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