中東などから大量に流入する難民に悩む欧州連合(EU)が、トルコとの首脳会合で無秩序な難民や移民の流れを阻止するための連携強化策に合意した。
トルコは多数のシリア難民を抱え、欧州に向かう難民や移民の経由地としてもカギを握る国だ。これ以上の事態悪化を防ぎ難民危機の潮目を変えるには、欧州とトルコの協力体制が欠かせない。
合意の最大の狙いは、トルコから海を渡って隣国のギリシャに入り込む不法な移民や難民の流れに歯止めをかけることだ。そのために20日以降、トルコからギリシャに渡る密航者を原則としてトルコへ送り返すことになった。
トルコから密航する途中で命を落とす難民も後を絶たない。危険を冒してギリシャに着いても送り返されるとなれば密航を断念し、結果として欧州への無秩序な流入が止まることをEU側は期待している。
難民らを送還する一方で、トルコにいるシリア難民の一部をEU側が正規の手続きを経て引き取ることも決めた。就労目的の不法な経済移民などの流入を防ぐと同時に、EUは保護の必要な難民を秩序だって受け入れる体制を整えていく必要がある。
合意には課題も多い。難民らの送還には国連機関などが懸念を示しており、国際法の順守や人権への配慮が不可欠だ。トルコからギリシャに入る流れを遮断しても、別のルートで欧州入りをめざす難民や移民が増える事態をどう防ぐかという問題もある。
EUは協力への見返りとして、トルコ国民がEUに旅行する際のビザ(査証)免除措置の前倒し検討などを約束した。その進展が滞れば合意履行に影響が及ぶ可能性も出てくる。EU加盟国の間で難民受け入れなどの対応に温度差があることも気がかりだ。
欧州の難民危機は正念場を迎えつつある。地中海を渡ってギリシャに入った難民や移民は、年初から既に14万人を超え昨年の同時期を大幅に上回っている。有効な手を打てず放置すれば、春を迎えさらに急増して混乱が拡大する恐れがある。
EUとトルコは課題を乗り越えて、合意を危機打開の突破口にするよう全力を尽くしてほしい。難民問題の根本にあるシリア内戦などの収拾を急ぐ責任が国際社会にあることも、改めて強調しておきたい。
トルコは多数のシリア難民を抱え、欧州に向かう難民や移民の経由地としてもカギを握る国だ。これ以上の事態悪化を防ぎ難民危機の潮目を変えるには、欧州とトルコの協力体制が欠かせない。
合意の最大の狙いは、トルコから海を渡って隣国のギリシャに入り込む不法な移民や難民の流れに歯止めをかけることだ。そのために20日以降、トルコからギリシャに渡る密航者を原則としてトルコへ送り返すことになった。
トルコから密航する途中で命を落とす難民も後を絶たない。危険を冒してギリシャに着いても送り返されるとなれば密航を断念し、結果として欧州への無秩序な流入が止まることをEU側は期待している。
難民らを送還する一方で、トルコにいるシリア難民の一部をEU側が正規の手続きを経て引き取ることも決めた。就労目的の不法な経済移民などの流入を防ぐと同時に、EUは保護の必要な難民を秩序だって受け入れる体制を整えていく必要がある。
合意には課題も多い。難民らの送還には国連機関などが懸念を示しており、国際法の順守や人権への配慮が不可欠だ。トルコからギリシャに入る流れを遮断しても、別のルートで欧州入りをめざす難民や移民が増える事態をどう防ぐかという問題もある。
EUは協力への見返りとして、トルコ国民がEUに旅行する際のビザ(査証)免除措置の前倒し検討などを約束した。その進展が滞れば合意履行に影響が及ぶ可能性も出てくる。EU加盟国の間で難民受け入れなどの対応に温度差があることも気がかりだ。
欧州の難民危機は正念場を迎えつつある。地中海を渡ってギリシャに入った難民や移民は、年初から既に14万人を超え昨年の同時期を大幅に上回っている。有効な手を打てず放置すれば、春を迎えさらに急増して混乱が拡大する恐れがある。
EUとトルコは課題を乗り越えて、合意を危機打開の突破口にするよう全力を尽くしてほしい。難民問題の根本にあるシリア内戦などの収拾を急ぐ責任が国際社会にあることも、改めて強調しておきたい。