期待ほど景気が上向かない原因を究明し、アベノミクスの足らざる部分を強化する。安倍晋三政権にとり、優先度がより高まっている課題だ。
では政府が開く国際金融経済分析会合は、それに資するだろうか。
海外の著名な学者らを招いて意見交換すること自体に異論はない。減速する世界経済に、世界の知見を得て対処しようというのは、伊勢志摩サミットの議長国にふさわしい姿勢だともいえよう。
問題は、真の狙いに不透明さが漂うことだ。政府・自民党内では消費税再増税の延期論も広がっている。もっぱら国政選挙への悪影響を理由とした判断を導くなら、無責任との批判は免れまい。
一連の会合では、米コロンビア大のスティグリッツ教授が再増税の見送りを提言し、同じく増税に否定的な発言を重ねてきた米プリンストン大のクルーグマン名誉教授も延期を主張した。
一方、米ハーバード大のジョルゲンソン教授は再増税の是非の判断は時期尚早と指摘した。
有識者会合の開催は、以前に再増税を延期した際に安倍政権が用いた手法だ。またも先送りすることへの「地ならし」との見方が出るのも無理からぬことだろう。
国民から見て分かりにくいのは、脱デフレに向けた政権の取り組みについて、「成果が上がった」とばかり訴えていることだ。経済政策に問題はなく、悪いのはもっぱら海外要因、というのではいかにも説得力に乏しい。
首相は、リーマン・ショックや東日本大震災のような事態に陥らなければ再増税すると明言してきた。今の世界経済が同等の危機といえるか冷静に吟味すべきだ。
首相は同時に「(増税で)経済が失速しては元も子もない」とも語る。そうした事態を回避し、再増税に耐えうる強い経済を作ることも約束ではなかったか。
むろん、再増税では景気が失速し、デフレの泥沼に戻ると明確に判断するなら、延期という選択肢も必要だ。それには、まず政権として自ら政策を総点検することが不可欠である。
金融緩和や財政出動で景気を刺激する間に確固たる成長基盤を築けてきたか。企業収益や雇用環境が改善されているのに、なぜ消費や投資は盛り上がらないのか。
国民がもっとも聞きたいのは、海外識者のお墨付きではない。
では政府が開く国際金融経済分析会合は、それに資するだろうか。
海外の著名な学者らを招いて意見交換すること自体に異論はない。減速する世界経済に、世界の知見を得て対処しようというのは、伊勢志摩サミットの議長国にふさわしい姿勢だともいえよう。
問題は、真の狙いに不透明さが漂うことだ。政府・自民党内では消費税再増税の延期論も広がっている。もっぱら国政選挙への悪影響を理由とした判断を導くなら、無責任との批判は免れまい。
一連の会合では、米コロンビア大のスティグリッツ教授が再増税の見送りを提言し、同じく増税に否定的な発言を重ねてきた米プリンストン大のクルーグマン名誉教授も延期を主張した。
一方、米ハーバード大のジョルゲンソン教授は再増税の是非の判断は時期尚早と指摘した。
有識者会合の開催は、以前に再増税を延期した際に安倍政権が用いた手法だ。またも先送りすることへの「地ならし」との見方が出るのも無理からぬことだろう。
国民から見て分かりにくいのは、脱デフレに向けた政権の取り組みについて、「成果が上がった」とばかり訴えていることだ。経済政策に問題はなく、悪いのはもっぱら海外要因、というのではいかにも説得力に乏しい。
首相は、リーマン・ショックや東日本大震災のような事態に陥らなければ再増税すると明言してきた。今の世界経済が同等の危機といえるか冷静に吟味すべきだ。
首相は同時に「(増税で)経済が失速しては元も子もない」とも語る。そうした事態を回避し、再増税に耐えうる強い経済を作ることも約束ではなかったか。
むろん、再増税では景気が失速し、デフレの泥沼に戻ると明確に判断するなら、延期という選択肢も必要だ。それには、まず政権として自ら政策を総点検することが不可欠である。
金融緩和や財政出動で景気を刺激する間に確固たる成長基盤を築けてきたか。企業収益や雇用環境が改善されているのに、なぜ消費や投資は盛り上がらないのか。
国民がもっとも聞きたいのは、海外識者のお墨付きではない。