安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領がニューヨークの国連本部で、およそ10カ月ぶりに首脳会談を開いた。北方領土問題で前進はなかったが、首脳対話の継続を確認したことは重要だろう。
北方領土をめぐる昨今のロシアの立場は強硬だ。政府要人の現地訪問が相次ぎ、四島の実効支配を誇示する姿勢がめだつ。領土問題に相当な議論を割いたという先の日ロ外相会談でも、ラブロフ外相は「北方領土は議論していない」と日本側をけん制していた。
しかし、何もしなければ四島のロシア化は着実に進み、解決の道は遠のくばかりだ。交渉を前進させるには、あらゆるレベルの対話を途切らせないことが大切だ。
今月22日には貿易経済に関する日ロの政府間委員会が約3年ぶりに開かれ、プーチン大統領も前向きに評価した。10月8日には北方領土問題などを話し合う外務次官級協議も再開する予定だ。
なかでも重要なのは首脳同士の対話だろう。安倍首相は会談で自らの自民党総裁再選に触れ「平和条約交渉に腰を据えて静かに取り組む素地が整った」と語った。
国内で絶対的な権力を持つプーチン大統領と今後も会談を重ねて信頼関係を築き、大統領の本音を探りつつ、領土交渉打開の糸口を見いだしていく必要がある。
その意味で、11月の国際会議の場で首脳会談を続け、プーチン大統領の来日も「最適な時期」に実現するとした合意は妥当だ。もちろん、大統領の来日が領土問題解決の突破口になるという安易な期待は禁物で、長期的な視野に立った粘り強い交渉が欠かせない。
プーチン大統領はかねて日本との平和条約締結に前向きだ。今回の会談では経済協力の「潜在力」に言及した。領土問題で譲歩する意思があるかは不透明だが、日本との関係改善に取り組む余地を残していることは確かだろう。
日本政府にはウクライナ危機を招いたロシアに建設的な対応を促す責務もある。それを忘れず、対ロ交渉を着実に進めてほしい。
北方領土をめぐる昨今のロシアの立場は強硬だ。政府要人の現地訪問が相次ぎ、四島の実効支配を誇示する姿勢がめだつ。領土問題に相当な議論を割いたという先の日ロ外相会談でも、ラブロフ外相は「北方領土は議論していない」と日本側をけん制していた。
しかし、何もしなければ四島のロシア化は着実に進み、解決の道は遠のくばかりだ。交渉を前進させるには、あらゆるレベルの対話を途切らせないことが大切だ。
今月22日には貿易経済に関する日ロの政府間委員会が約3年ぶりに開かれ、プーチン大統領も前向きに評価した。10月8日には北方領土問題などを話し合う外務次官級協議も再開する予定だ。
なかでも重要なのは首脳同士の対話だろう。安倍首相は会談で自らの自民党総裁再選に触れ「平和条約交渉に腰を据えて静かに取り組む素地が整った」と語った。
国内で絶対的な権力を持つプーチン大統領と今後も会談を重ねて信頼関係を築き、大統領の本音を探りつつ、領土交渉打開の糸口を見いだしていく必要がある。
その意味で、11月の国際会議の場で首脳会談を続け、プーチン大統領の来日も「最適な時期」に実現するとした合意は妥当だ。もちろん、大統領の来日が領土問題解決の突破口になるという安易な期待は禁物で、長期的な視野に立った粘り強い交渉が欠かせない。
プーチン大統領はかねて日本との平和条約締結に前向きだ。今回の会談では経済協力の「潜在力」に言及した。領土問題で譲歩する意思があるかは不透明だが、日本との関係改善に取り組む余地を残していることは確かだろう。
日本政府にはウクライナ危機を招いたロシアに建設的な対応を促す責務もある。それを忘れず、対ロ交渉を着実に進めてほしい。