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[読売新聞] スマート工場 産学官連携で生産性高めよう (2016年04月14日)

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受注から製造、販売までのあらゆる情報をリアルタイムに把握して、最適な生産体制をとる。

そうした「スマート工場」が広がれば、製造業の生産性は飛躍的に高まろう。

労働人口の減少が進む中で、日本経済の成長力を維持するため、スマート工場の推進に、官民を挙げて取り組みたい。

政府と経済界の代表らが意見交換する官民対話で、安倍首相は、「世界に先駆けた第4次産業革命を実現する」と表明した。

インターネットやビッグデータを活用し、蒸気機関、電力、コンピューターに続く第4の産業革命を目指すものだ。5月に策定する新たな成長戦略に盛り込む。

ものづくりを得意とする日本の特性を生かし、産業高度化を成長戦略の柱に据えたのは妥当だ。

政府は、企業の枠を超えて情報管理するスマート工場を、2020年までに全国で50か所設ける数値目標を掲げた。産業高度化で先行するドイツと連携を進め、必要な機器の国際標準化を主導する方針も示した。

ビッグデータの有効活用がカギを握るIT(情報技術)の時代は、異なる企業や業種の横断的な協力が重要となる。

日本の製造業はこれまで、個々の企業がそれぞれ創意工夫して生産性の向上に努めてきた。世界中で効率化のお手本とされたトヨタ自動車の「カンバン方式」は、その典型と言えよう。

今後は企業が伝統的な自前主義を脱し、組織の垣根を越えた技術革新(オープンイノベーション)を追求することが大事だ。

そのためには、産学官の連携強化も欠かせない。

首相は、企業から大学や研究開発法人に対する投資額を、今後10年で3倍の3000億円に増やす考えを示した。企業と大学が参画する戦略研究拠点を5か所以上作ることも明言した。

目標を着実に実現して、新たな成長産業の創出で成果を出してもらいたい。

情報ネットワークの活用は、製造業以外にも恩恵をもたらす。

膨大な立体地図や走行データを集約すれば、自動車の自動運転の実用化に役立つ。個人情報保護の壁が厚い患者の診療データを、収集・分析できるようにすれば、治療法の改善や創薬につながる。

民間が取り組みやすい環境を作る側面支援が政府の責務である。ビッグデータのさらなる活用に向けた規制緩和など、新たな課題に積極的に対応すべきだ。

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