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[読売新聞] 高校の通級指導 障害に応じた支援を続けたい (2016年04月14日)

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障害の程度が比較的軽い生徒が、通常学級に在籍しながら別室で障害に応じた指導を受ける。

そんな制度を高校にも導入するよう求める報告書を、文部科学省の有識者会議がまとめた。

「通級指導」と呼ばれるこの仕組みは、小中学校で制度化され、成果を上げている。高校進学率が98%を超える現状を踏まえれば、導入の方向性は妥当である。

文科省は今後、指導内容を検討するとともに、関係省令を改正し、2018年度から実施する方針だ。障害の特性を考慮し、きめ細かな教育上の配慮をする仕組みを整えてもらいたい。

衝動的な行動をとりがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)や、読み書き、計算などが苦手な学習障害(LD)といった発達障害を抱える子供は少なくない。

通級指導では、こうした児童・生徒らを対象に別室で、週に数時間程度、障害の克服を目指して特別の授業を行う。例えば、様々な場面を想定したロールプレイで、感情をコントロールする方法を身につけてもらう。

1993年度に小中学校で始まって以降、通級指導を受ける子供は増え続けている。14年度は過去最多の約8万4000人を数えた。通級指導に対するニーズが高まっているのは間違いない。

高校に進学する生徒のうち、約2・2%には発達障害の可能性があるとの推計もある。ところが、義務教育でない高校には、通級指導の制度がなく、対応は各学校任せになっているのが現状だ。

小中学校で積み重ねられてきた個々の障害に応じた指導を、高校でも途切れないようにすることが求められる。

課題は、通級指導をきちんと行える高校教師の確保である。

障害に関する知識を習得し、適切な指導計画を立てて実践できるよう、研修態勢の整備が欠かせない。高校が、様々な障害を持つ生徒を専門に教える特別支援学校の高等部と連携し、指導のノウハウを学ぶことも有効だろう。

高校卒業後を見据えた支援も重要になる。せっかく大学進学や就職を果たしても、障害が原因で新生活に適合できず、退学や退社に至るケースがあるからだ。

大学や企業に対し、高校側が障害の克服状況や留意点に関する情報を積極的に提供する。大学や企業もそれを基に授業や仕事で可能な限り、配慮する。そんな取り組みを重ね、切れ目のない支援を行うことが大切である。

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