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[東京新聞] 韓国与党大敗 「慰安婦」合意の履行を (2016年04月15日)

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韓国の総選挙で与党が大敗を喫し、党代表が辞任した。残る任期が二年を切った朴槿恵大統領の求心力低下は避けられない。長い冷却期間から改善に向かいだした日韓関係への影響も懸念される。

与党セヌリ党は百二十二議席(定数三〇〇)で、保守系無所属の入党を加えても過半数に遠く及ばない。法案提出や審議で野党との協議が必要となり、大統領の政権運営はいま以上に難しくなる。

朴政権は外交は評価されたが、経済、雇用、福祉で成果を上げられず、特に若年層が野党に投票したとみられる。また、セヌリ党は候補公認の過程で、朴大統領に近い勢力と、距離を置く勢力の内紛に陥った。自分に近い候補を擁立しようとした大統領の強権ぶりも批判を浴びた。

野党は今後、外交と対北朝鮮政策でも政権批判を強めるだろう。

日韓関係は冷却期間をようやく脱して、改善に歩みだした。昨年末には、懸案の慰安婦問題の解決に向けた政府間合意にこぎつけた。元慰安婦を支援する財団を韓国政府が設立し、日本政府が十億円を拠出する。朴大統領は「(合意を)誠実に履行する」と表明しているが、与党敗北により、国内世論をさらに意識する必要が出てきた。

それでも、被害者の生存者は四十四人、平均年齢が九十歳近くで、残された時間は多くはない。韓国政府は被害者との面会を重ねて、財団による救済策への理解を求めてほしい。併せて日本側に国家賠償を求める支援団体には、方針変更を説得するよう望む。

総選挙で第一党になった野党「共に民主党」は慰安婦合意の再協議を要求するが、被害者の多くを救済できる現実的な方法は何かを考えるべきではないか。

野党側は北朝鮮に対して強硬姿勢を貫く朴大統領を批判し、対話と交流再開を模索せよと求めるだろう。

日韓の防衛協力にも影響が出そうだ。北朝鮮のミサイル情報の共有が可能になる、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結に、韓国内から慎重論が強まる可能性がある。

韓国はこれから次期大統領の候補選出に動きだすが、朴大統領は残る任期で慰安婦問題など日韓合意を着実に履行してほしい。北朝鮮の核、ミサイル問題には米国を含めた日韓の連携が欠かせない。日本側も韓国との共通利益を探り、関係改善の流れを後戻りさせない努力が必要だ。

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