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[毎日新聞] 地震情報 (2016年04月16日)

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「国連の顔」である次期事務総長選出に向け、国連総会で立候補を表明している9人の公開質疑が行われた。「密室協議」との批判もあった従来の選出方法を見直し、透明度を高めようと初めて実施されたもので、国連改革の一歩と評価したい。

第8代事務総長の潘基文(バンキムン)氏は年末で2期10年の任期を終える。秋までに次期総長が選出される見通しだ。事実上の決定権を持つ安全保障理事会は改革を求める国際社会の声に率直に耳を傾けてほしい。

4万人を超える国連職員のトップである事務総長は国連憲章で安保理の勧告に基づいて総会が任命すると規定されている。このため、拒否権を持つ米英仏中露の安保理常任理事国5カ国が人選を左右してきた。

候補者が総会で所信を明らかにしたり、加盟国が資質を問うたりする機会もなかったが、国連創設70年を迎えた昨年秋、選出過程の透明化などを求める国連総会決議が採択され、総会での公開質疑が実現した。

3日間の質疑にはブルガリア出身の女性で国連教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長のイリナ・ボコバ氏やポルトガルの元首相で前国連難民高等弁務官のアントニオ・グテーレス氏ら9人が参加し、持ち時間1人2時間で議論が行われた。

昨秋の決議には地域的なバランスへの考慮や女性候補の擁立を促すことも盛り込まれた。このため、候補者にはこれまで事務総長を送り出したことがない東欧の出身者が7人、女性が4人名乗りを上げている。今後も立候補は可能で、新たな候補者が出れば改めて質疑を行う。

今回はボコバ氏が男女差別の撤廃を求め、グテーレス氏が難民問題での経験を強調するなどそれぞれの個性が示された。公開の場で候補者の資質が示されれば、安保理も無視はできない。それが改革の狙いだ。

7月からは安保理15カ国が投票を繰り返して候補者を絞り込む。常任理事国が決定権を握ることに変わりないが、自国の思惑や水面下での政治的な取引を優先させれば、国連と安保理への信頼低下につながることを自覚すべきだ。

事務総長の行動や発言には国際的な注目が集まる。政治的な影響力は小さくない。潘氏にはシリア問題や国連改革などで常任理事国の意向に配慮するあまり、十分な指導力を発揮できなかったとの批判もある。

大国と意思疎通をはかりながらも、言うべきときにはきちんと物を言う。そんな人物が必要だ。もちろん、初めての女性総長は有力な選択肢になるだろう。日本も非常任理事国として選出に責任を持つ。透明性を高め、人物本位で選ぶという改革を前進させるために貢献したい。

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