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[産経新聞] 【主張】G20共同声明 税逃れ防ぐ枠組み広げよ (2016年04月17日)

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米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、タックスヘイブン(租税回避地)などを使った課税逃れ対策の強化で合意した。

各国首脳らとタックスヘイブンの関係を暴露した「パナマ文書」が流出し、税の透明性や公平性が大きく揺らいでいる。こうした事態を踏まえ、租税回避を封じる国際的な枠組みの整備を確認したのは当然である。

問題はその実効性だ。共同声明は、G20だけでなく、あらゆる関係国が銀行口座などの情報を交換し合う仕組みに参加するよう求めた。非協力的な国には制裁も検討する。国際的な監視網からの抜け道を作ってはならない。

G20には、首脳の親族らの関与が指摘された英国や中国、ロシアも含まれる。不正を許さぬ強い意志で各国が連携することが課税逃れを防ぐ大前提である。

すでにG20は、各国間で銀行口座の情報を交換したり、大企業による過度の節税を抑止したりする枠組みでの協力を決めている。

ここには約100カ国・地域が参加を表明しているが、タックスヘイブンとされる国・地域には不参加のところもある。この状況が改善されないかぎり、国際包囲網の実もあがらないだろう。

税逃れ対策に非協力的な国などへの制裁措置は、こうした国から受け取る配当金への課税強化などが想定されるという。関係国が確実に参加するような措置を講じる必要がある。

G20は、国際ルールを順守しているかどうかを監視する際には、各国税務当局が口座情報にアクセスする権限などが重要になると指摘した。タックスヘイブンには実体のないペーパーカンパニーが設立されている。その実質的な所有者を各国が特定できなければ、不正な資金の流れも防げまい。

そのためにも各国の協調は欠かせないが、こうした仕組みは企業の機密情報をやり取りすることにもなる。情報の漏洩(ろうえい)を防ぐ仕組みも同時に設ける必要があろう。

一方、G20の共同声明は、世界経済について「成長は緩やかで不確実性が残っている」とし、成長を支えるためにすべての政策手段を用いることを再確認した。各国の実情に応じて金融政策や財政政策を効果的に実施するのはもちろん、持続的な成長に向けた構造改革の手も緩めてはならない。

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