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[日経新聞] 消費不振でも伸びる市場 (2016年04月18日)

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主な流通業の2016年2月期の決算が出そろった。消費者の節約志向を映し、低価格品に力を入れた企業の好業績が目立つ。その一方で、高齢化や健康志向などに丁寧に対応し、価格以外の魅力で消費者を引きつけた企業も多い。企業は的確なかじ取りで新たな消費を掘り起こしたい。

明暗を分けたのが二大衣料チェーンだ。低価格品に強いしまむらは3期ぶりの増益になった。

他方で主力の「ユニクロ」商品を2年連続で値上げしたファーストリテイリングの上期(15年9月?16年2月期)は大幅減益となり、16年8月期の通期業績見通しも下方修正した。値上げの失敗を柳井正会長兼社長も認める。

大手百貨店各社も株価の低迷などで宝飾品、衣料品などの消費に陰りが見える。決算は外国人旅行者の買い物に助けられたが、その訪日外国人の消費も為替の変動などで伸びは鈍化しつつある。

ただし低価格品だけが消費者を引きつけたわけではない。首都圏や関西が地盤の食品スーパー、ライフコーポレーションは過去最高益となった。総合スーパーの不振をよそに、食品に特化したスーパーの業績はおおむね好調だ。

各社はコンビニエンスストアにならい、高齢の単身世帯や働く女性の増加に対応して総菜や弁当の品ぞろえに力を入れ、身近な住宅地への出店を増やした。こうした努力が実を結んだ。鮮度のいい野菜や魚を地元などから仕入れ、安いが画一的な品ぞろえが目立つ総合スーパーにない魅力づくりにつなげた。

イオングループが増収増益となったのも、食品スーパーとドラッグストアがけん引役になった結果だ。コンビニエンスストアのローソンは健康志向をにらんだ独自商品の開発が好業績につながった。

既存の流通業が対応しきれていなかったニーズを的確にとらえれば、価格競争に頼らず業績を伸ばすことは可能といえる。正しくツボを押せば、もっと消費は動く。企業は工夫と挑戦を重ねたい。

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