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[読売新聞] 南シナ海緊張 無法極まる中国の軍事拠点化 (2016年05月09日)

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南シナ海の緊張を高め続ける中国の無法ぶりが目に余る。米国や日本など関係国は、不当さを国際社会に粘り強く訴えることが欠かせない。

中国が最近、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島に造成した人工島の滑走路で、軍用機を離着陸させた。急病の建設作業員を搬送するため、南シナ海を巡視中の海上パトロール用の航空機を派遣したと主張している。

今年1月には、「民間機」を使って滑走路の運用テストを行ったと公表していたが、軍用機の利用が公になったのは初めてだ。

中国軍の制服組トップは、スプラトリー諸島の施設の建設状況を視察した。場所は明示していないものの、人工島とみられる。中国と領有権を争うベトナムのメディアは、人工島の巨大なレーダー施設を写真付きで報じた。

「軍事化には当たらない」と強弁しながら、南シナ海で軍事拠点化を加速させる習近平政権の欺瞞(ぎまん)がエスカレートしている。

看過できないのは、人工島だけでなく、これまで対立が先鋭化していなかった南シナ海の岩礁や海域でも、「主権」を力ずくで誇示する動きが目立つことである。

マレーシアの排他的経済水域(EEZ)内にある岩礁の周辺には、100隻近い漁船が公船を伴って出現した。インドネシアの島の付近では、摘発された漁船を公船が体当たりして取り返した。

フィリピンはハーグの仲裁裁判所に、中国の独善的な領有権主張を巡って提訴している。中国に不利な判断が、5?6月中にも示される見通しだ。

習政権には、その前に南シナ海の実効支配を既成事実化しようとする狙いがあるのではないか。

中国の一方的な行動を抑止するには、中国が「領海」と主張する海域で米艦艇による巡視活動を継続し、国際法に基づく「航行の自由」を体現することが肝要だ。

オバマ米大統領は今月下旬、ベトナムを初訪問し、海洋安全保障面で関係強化を図る方針だ。米軍もフィリピンとの軍事協定に基づき、事実上の駐留に乗り出す。

米国には、ベトナムやフィリピンなど関係国と連携を深め、中国への圧力を恒常的に維持する体制の構築が求められよう。

南シナ海で「法の支配」を徹底させるため、岸田外相も東南アジア諸国連合(ASEAN)に全面的に協力する考えを伝えている。日本は、中国への懸念を各国と共有し、海洋秩序維持の重要性を確認せねばならない。

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