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[日経新聞] 三菱自動車は日産傘下で再生するのか (2016年05月13日)

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急転直下の展開に驚いた人も多いだろう。燃費不正に揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入り、再建をめざすことになった。日産との提携を機に、閉鎖的で不正を繰り返す体質から三菱自が脱却し、健全な会社に生まれ変わるのか注目したい。

世界の自動車産業は環境対応や自動運転技術の進化で変革期を迎えている。三菱自クラスの中堅規模のメーカーは、それでなくとも単独での生き残りが難しくなっている。ましてや度重なる不祥事で信用が地に落ちた三菱自は、外部からの支援なしには会社の存続もおぼつかない情勢だった。

日産は2370億円を投じて三菱自の第三者割当増資を引き受け、34%の株式を握る筆頭株主になる。取締役も複数派遣する。他方で日産のカルロス・ゴーン社長は「三菱ブランドを守り育てる」とも述べ、三菱自の独立性を尊重する考えを示した。

三菱自は約10年前にもリコール隠しで経営危機に陥り、三菱重工業など三菱グループ各社の支援を仰いで乗り切った。今回はグループ各社からも突き放した声が聞かれ、「外国企業に身売りするぐらいしか存続の道はないのではないか」という見方も出ていた。

その意味で、軽自動車を通じて提携関係にあり、首脳同士も互いによく知る日産が再建スポンサーに名乗りを上げたことは、三菱自にとって得がたい機会だ。まずは燃費不正の全容解明と消費者などへの補償を急ぎ、再発防止に万全を期さないといけない。

軽自動車をめぐる燃費不正の背景には、ライバル各社に対する技術面の劣後がある。三菱自の益子修会長は「技術開発でも日産から支援をもらい、意識や風土の改革をはかりたい」と表明した。

日産にとっては出資に見合う成果が問われる。部品の共同調達、両社がともに力を入れる電気自動車の技術開発の加速、日産が弱い東南アジア地域での協業などが課題だ。三菱自に対し、痛みを伴うリストラを求めざるを得なくなる場面もでてくるだろう。

自動車産業では、トヨタ自動車によるダイハツ工業の完全子会社化やグーグルとフィアット・クライスラー・オートモービルズの自動運転車両をめぐる協業など、提携が相次いでいる。ライバル会社とも協力関係を築き、そこから収穫を引き出す。そんな手腕が経営者に求められる時代である。

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