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[産経新聞] 【主張】パナマと租税協定 国際的監視網を主導せよ (2016年05月26日)

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日本政府がパナマと、租税情報を交換する協定を締結することで合意した。日本人が現地で保有する金融口座に関する情報を取り寄せることができるようになり、企業や富裕層の課税逃れを防ぐことにつながる。

政治家らによる節税の実態を明らかにした「パナマ文書」の震源地となった同国が、海外と税務情報を交換するのは初めてである。

日本はこれを契機として世界の租税回避地(タックスヘイブン)に対する国際的な監視網づくりに貢献すべきだ。

26日に開幕する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも国際的な租税回避問題は重要な議題である。議長を務める安倍晋三首相は課税逃れを防ぐ対策をめぐる議論を主導してほしい。

パナマのバレラ大統領が先月来日した際、安倍首相との首脳会談で国際的な租税回避問題にパナマも協力することを確認していた。日本と最初に租税情報の交換協定を2国間で締結することを決めたのは、これを受けたものだ。

協定では、日本企業など非居住者がパナマの金融機関に開設した口座の残高などの情報について、国税庁がパナマ側から受け取れるようになる。

パナマ経由の資金の流れが把握でき、所得隠しなどの摘発が可能になる。資金の透明性確保へ一歩前進したといえる。

租税回避地の利用は違法ではないが、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)、テロ資金の隠し場所などとして悪用される恐れが指摘される。

このため、経済協力開発機構(OECD)が租税情報を各国で交換するルール化を進めており、約100カ国・地域が参加を表明している。パナマもこれに沿って日本に情報提供する。

フランスでは検察当局が米グーグルの現地法人を脱税の疑いで家宅捜索するなど、パナマ文書を発端に多国籍企業の課税逃れを批判する国際世論も高まっている。

ただ、租税回避地ではペーパーカンパニーを通じて資金が循環しており、こうした会社の実際の出資者が判明しなければ、適正な課税は難しいのが現状だ。

課税逃れ対策の実効性を高めるため、租税回避地におけるペーパーカンパニーの実質的な所有者を特定する仕組みも、世界規模で構築しなければならない。

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