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[日経新聞] 農協は独禁法の順守徹底を (2016年06月12日)

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高知県安芸市の農業協同組合が組合員農家に対し、農産物のナスを農協に出荷するように圧力をかけていた疑いが出ている。公正取引委員会は近くこの農協から話を聞き、最終的に不公正な取引方法と判断すれば独占禁止法に基づく処分を下す。

農家が農協を通じ共同で農産物を売ったり、必要な資材を購入したりする行為は独禁法の適用を除外されている。規模の小さな農家が大型スーパーに農産物を販売する場合などに不利な立場に置かれないようにするためだ。

ただ、農協の事業を利用するかどうかは農家の経営判断だ。農協が販売・購買事業を利用することを農家に強要したり、農協以外の経路を使うことを妨げたりするのは許されない。

公取委によれば、農協の不公正な取引方法に対する法的措置や警告は1989年から今年3月末までに12件あった。これとは別に、山形県では5つの農協が話し合いでコメの販売手数料を従来の定率から定額に変え、その額の目安も決めた事実が発覚し、公取委は14年に警告処分を出した。

違反行為が後を絶たない現実を見れば、独禁法に対する認識や法令順守の精神が農協組織に足りないと言わざるを得ない。

4月に施行した改正農協法は、農協が組合員に事業の利用を強制してはならないと明記した。公取委は4月、農業分野の独禁法違反について広く情報を提供してもらう専用窓口を設けた。独禁法に違反する事例を徹底して洗い出し、是正すべきだ。

農協が経営努力で農薬や肥料の価格を安くし、農産物の流通コスト引き下げや販路開拓で競争力を高めれば、農家の利用は進むはずだ。その努力を怠り農家を縛ることがあってはならない。

農家には農協に協力しなければ地域社会の調和を乱すのではないかという「無言の圧力」もかかりやすい。農協には法令順守はもちろん、農家の自由な活動を妨げない環境づくりが求められる。

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