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[読売新聞] 欠陥エアバッグ もっと速やかにリコールを (2016年06月15日)

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タカタ製エアバッグの欠陥問題は、収束の兆しが未(いま)だに見えない。追加リコール(回収・無償修理)という異例の事態に発展した。

これ以上、事故が起きないよう、官民が協力してリコールを急がねばならない。

国土交通省が、国内外の自動車メーカー22社にリコールの届け出を指示した。国内販売分の700万台が新たに対象となる。

異常破裂を起こしたエアバッグと同型品の搭載車だけでなく、乾燥剤が入っていないエアバッグの搭載車も対象に加えた。内部の火薬が湿気を含むと、爆発力が高まる恐れがあるためだという。米運輸省の措置に準じた対応だ。

ただ、既にリコールされている約1300万台の改修さえ、思うように進んでいない。

自動車各社が改修を促すダイレクトメールをユーザー宅に郵送したり、国交省の職員が自宅を訪問したりしているものの、ユーザーが転居するなどして、改修率は6割にとどまる。

追加リコールで対象車が増えれば、改修率はさらに落ち込むだろう。自動車各社が対象車を早急に特定し、ユーザーへの周知を徹底する必要がある。

ユーザーも、自分の車がリコール対象となっていないか、自動車各社のホームページや相談窓口などでの確認を心がけたい。

世界全体で100件の異常破裂が報告されている。米国では部品の破片に当たり、10人が死亡した。国内でも6件が確認され、1人が大けがをした。この負傷者は、タカタと自動車メーカーを業務上過失傷害の疑いで告訴した。

こうした深刻な状況にもかかわらず、タカタの高田重久会長兼社長は昨年11月以来、記者会見を開いていない。説明責任を果たしているとは言えまい。前例のないリコールを引き起こした企業の対応としては、あまりに不誠実だ。

メディアを活用してユーザーに呼びかけるなど、早期改修のために手段を尽くしてはどうか。

リコール費用は総額1兆円にも上るとされる。タカタ単独で負担するのは困難だろう。

世界のエアバッグ市場で2割の占有率を持つタカタが破綻すれば、自動車各社の生産ラインに影響が及ぶことは間違いない。

米投資ファンドや中国の自動車部品会社が、タカタの再建支援に名乗りを上げている。

国内の自動車各社は、ユーザー対応を最優先に、タカタへの支援策を検討してもらいたい。

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