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[読売新聞] 舛添氏不信任案 引き際もわきまえないのか (2016年06月15日)

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包囲網が完全に敷かれた中で、無意味な延命を図るべきではない。

東京都の舛添要一知事による政治資金の私的流用問題で、知事与党の自民、公明両党は、舛添氏に対する不信任決議案を都議会の議会運営委員会に提出した。

野党の不信任案と一本化した。都議会は閉会日のきょう、最大の山場を迎える。

与党は当初、舛添氏を早期の辞職に追い込むことには、慎重な姿勢を示していた。一昨年の都知事選で舛添氏を支援したため、その責任論が参院選などで浮上する事態を懸念したとされる。

舛添氏を庇(かば)っていると受け取られる方が、影響は深刻だと判断したのだろう。この数日で一気に早期決着へと傾いた。

舛添氏は、都議会議長による辞職要請を拒んだ。ポストにしがみついているとしか思えない。

自ら説明責任を果たそうとしない態度は、13日の集中審議でも変わらなかった。公私混同が指摘された一連の疑惑に対し、「心からの反省」を口にしながら、個々の支出に関する説明は弁護士による調査報告書の域を出ていない。

千葉県内のホテルに家族同伴で宿泊した問題では、本会議での答弁と同様、旧知の出版会社社長に政治的な相談をしたなどと釈明するばかりだった。相手の氏名は最後まで明らかにしなかった。

報道に依拠した質問を繰り返す議員側の追及不足も目立ったとはいえ、舛添氏の説明にどこまで信憑(しんぴょう)性があるのか、匿名のままでは判断しようがない。

知事としての資質への疑念は膨らむ一方である。

舛添氏は、8?9月にリオデジャネイロ五輪とパラリンピックを控えるため、不信任決議案の提出を猶予するよう求めた。いずれも閉会式で、次期開催都市のトップである都知事が大会旗を受け取るセレモニーが予定されている。

舛添氏は、五輪と都知事選などが重なるマイナス面を強調した。それを言うなら、自身の疑惑で「死に体」となった首長が出席する弊害の方が、よほど大きい。

知事給与の全額辞退も持ち出したが、知事の資格はないと、自ら宣言したに等しい。

不信任案が可決されれば、知事は辞職か都議会の解散を選択することになる。しかし、今の舛添氏に、解散してまで問う「信」が果たしてあるのか。

都知事としての命運は事実上、尽きている。舛添氏は引き際を誤ってはなるまい。

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