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[産経新聞] 【主張】有事の邦人救出 韓国との事前協議を急げ (2015年10月16日)

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朝鮮半島有事における在韓邦人の救出について、日本の要請があれば自衛隊の入国を認めることがあり得るという考えを韓国の黄教安首相が国会答弁で示した。

有事に韓国軍や米軍などが、外国市民の保護にまで十分手が回るかは疑わしい。民間の飛行機や船舶の運航が滞り、日本が自衛隊の輸送機や艦船を派遣して邦人を救うしかないケースは考えられる。

だが、自衛隊アレルギーが強い韓国側がこれを嫌うため、日韓間で長く結論が出てこなかった。黄首相の発言は妥当なものだ。

窮地に陥った国民を速やかに救い出すのは、政府が最優先で取り組むべき責務である。安倍晋三首相は入国許可について韓国側の約束を取り付けるよう、外務防衛当局に強く指示してほしい。

韓国の在留邦人は約3万7千人(昨年10月1日現在)に上り、これに旅行者なども加わる。

黄首相は、邦人救出について日韓間で「具体的な約束もあった」とも語ったが、日本政府は認めていない。

明確な形で合意し、公表できるものでなければ、いざというときに実効性が保てない。

朝鮮戦争が1953年に休戦してから62年間、政府は自衛隊が邦人を救う枠組みを整えてこなかった。大きな怠慢といえる。

5年前に菅直人首相(当時)が「自衛隊機で救出するルールがない。韓国と相談を始めたい」と述べたが、進展はなかった。

先の国会で成立した安全保障関連法は、半島有事の際、自衛隊が米軍などへの後方支援を行うことを想定している。

安倍首相は集団的自衛権の行使で、邦人を乗せた米軍艦船を守ることの意義を説いた。

日本は、米英仏豪などと国連軍地位協定を結び、半島有事になれば補給にあたる。横田や普天間など7つの在日米軍基地は国連軍の指定基地になっている。

これらが北朝鮮への抑止力となっていることは言うまでもない。実際に発動するかどうかは日本の判断によるが、まず邦人を避難させ、救出することが有事に協力する大前提となろう。

人道上の観点から、邦人だけでなく第三国の市民を輸送する必要もある。そうした事例も含め、日米韓で日頃から入念な準備を行っておくことが不可欠である。

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