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[日経新聞] 中国は海の緊張緩和へ具体的な行動を (2015年10月17日)

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中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の国防相らによる非公式会議が北京で開かれた。南シナ海での中国の一方的な岩礁埋め立てに関係国が反発し、危機が続いている。中国に強く自制を促したい。

「アジア回帰」政策を掲げる米国は、南シナ海での航行の自由を強調している。中国とのハイレベルの接触のたびに懸念を伝えてきた。

9月下旬のワシントンでの米中首脳会談では、オバマ大統領が南シナ海問題を提起。習近平国家主席は中国の主権を主張して譲らず、対立が深刻化した。習氏の訪米は、格が高い「国事訪問」にもかかわらず、包括的な共同声明さえ出せない状況に追い込まれた。

中国は、周辺国と領有権を争う南沙(英語名スプラトリー)諸島で造成した人工島から12カイリ(約22キロ)を領海と主張している。軍事利用も可能な構造物の建設も続いている。

カーター米国防長官は先に「航行の自由」確保へ米軍は世界のあらゆる場所で活動するとしたうえで、「南シナ海は例外ではなく、今後も例外にならない」と強調した。人工島から12カイリ以内での米艦艇の活動もためらわない構えだ。米・オーストラリア外務・防衛閣僚協議後の記者会見での発言だけに情勢は緊迫している。

中国とASEANの国防相会議で、南シナ海での米軍活動に関して、いかなる具体的な議論があったのかは明らかになっていない。中国は南シナ海問題を巡るASEAN各国の立場の違いを利用したい。ASEANの足並みが乱れるなら米国をけん制できると読む。

ASEAN各国側としても、世界第2位の経済規模を持つ中国との経済・貿易関係を重視している。インドネシアは、高速鉄道の建設で破格の条件を示した中国案を採用した。

とはいえ中国が力による現状変更をやめない限り南シナ海情勢の危うさは続く。中国は緊張緩和へ具体的な行動を取るべきだ。米中が衝突すれば、ASEAN諸国や日本、世界経済にも甚大な影響が出るのは間違いない。

中谷元・防衛相は11月上旬、マレーシアで開くASEAN拡大防衛相会合の際、中国の常万全国防相との会談を検討している。日本も米国、ASEAN各国と歩調を合わせ、中国に真摯な対応を迫る必要がある。

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