先行する海外のライバル企業に打ち勝てるか。日の丸液晶の復活に向けた実効性のある戦略を描かねばならない。
液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)が、筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構に金融支援を要請した。数百億円超に上るとみられる。
省電力で薄型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルなどに設備投資するための資金を賄うのが目的だ。
有機EL事業は量産体制の構築まで巨額の投資を必要とする。経営状況が厳しい中で、大株主である革新機構が支援の先頭に立つのはやむを得まい。
JDIは2012年に、革新機構の主導で発足した。その後、日立製作所、ソニー、東芝の3社の中小型液晶事業が統合された。
だが、高価格帯のスマートフォンの売れ行きが世界的に鈍り、新設した工場設備の費用負担がかさんで、資金繰りが苦しくなった。16年4?6月期の営業利益も、前年同期の22億円の黒字から34億円の赤字に転落した。
半導体やパソコンなど、日本のモノ作りを象徴するハイテク製品の競争力は、新興国企業の台頭で低下した。日本がリードした液晶事業の立て直しに向け、官民は連携して知恵を絞ってほしい。
気がかりなのは、世界の薄型パネル市場で高い占有率を持つ海外メーカーの投資規模が一段と大型化していることである。有機ELを巡っては、韓国のサムスン電子とLGのいずれもが数千億円を投じる計画を進めている。
台湾の鴻海精密工業が子会社化したシャープも、有機ELと次世代の液晶パネルを柱に再建を目指す。鴻海の支援で有機EL量産のために2000億円規模の設備投資を行う方針だ。
革新機構が金融支援の検討に当たって、JDIの事業計画を十分に吟味することが重要である。米アップルのiPhoneに依存した戦略の見直しや、スマホ以外の液晶需要の取り込みなどがカギを握るだろう。
革新機構は、公的資金で運営されていることを忘れてはならない。政府系ファンドが、競争力を失った企業の延命に手を貸すような事態は避けねばなるまい。
経営不振に陥っても、国が助けてくれるといったモラルハザード(倫理の欠如)が支援先企業に生じる懸念もある。
革新機構の支援を呼び水に民間銀行の資金も導入し、経営体力の回復を急いでもらいたい。
液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)が、筆頭株主で政府系ファンドの産業革新機構に金融支援を要請した。数百億円超に上るとみられる。
省電力で薄型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルなどに設備投資するための資金を賄うのが目的だ。
有機EL事業は量産体制の構築まで巨額の投資を必要とする。経営状況が厳しい中で、大株主である革新機構が支援の先頭に立つのはやむを得まい。
JDIは2012年に、革新機構の主導で発足した。その後、日立製作所、ソニー、東芝の3社の中小型液晶事業が統合された。
だが、高価格帯のスマートフォンの売れ行きが世界的に鈍り、新設した工場設備の費用負担がかさんで、資金繰りが苦しくなった。16年4?6月期の営業利益も、前年同期の22億円の黒字から34億円の赤字に転落した。
半導体やパソコンなど、日本のモノ作りを象徴するハイテク製品の競争力は、新興国企業の台頭で低下した。日本がリードした液晶事業の立て直しに向け、官民は連携して知恵を絞ってほしい。
気がかりなのは、世界の薄型パネル市場で高い占有率を持つ海外メーカーの投資規模が一段と大型化していることである。有機ELを巡っては、韓国のサムスン電子とLGのいずれもが数千億円を投じる計画を進めている。
台湾の鴻海精密工業が子会社化したシャープも、有機ELと次世代の液晶パネルを柱に再建を目指す。鴻海の支援で有機EL量産のために2000億円規模の設備投資を行う方針だ。
革新機構が金融支援の検討に当たって、JDIの事業計画を十分に吟味することが重要である。米アップルのiPhoneに依存した戦略の見直しや、スマホ以外の液晶需要の取り込みなどがカギを握るだろう。
革新機構は、公的資金で運営されていることを忘れてはならない。政府系ファンドが、競争力を失った企業の延命に手を貸すような事態は避けねばなるまい。
経営不振に陥っても、国が助けてくれるといったモラルハザード(倫理の欠如)が支援先企業に生じる懸念もある。
革新機構の支援を呼び水に民間銀行の資金も導入し、経営体力の回復を急いでもらいたい。