国際ルールの協議に応じることで、東南アジア諸国連合(ASEAN)の反発を抑え、内容を骨抜きにする。中国はそんな独善的な筋書きを描いているのではないか。
南シナ海での紛争防止を図る「行動規範」の策定に向けて、中国とASEANが公式高官協議を開き、来年半ばまでに枠組み合意を目指すことで一致した。
中国は行動規範の策定に慎重だった。これ以上、期限を決めなければ、来月初めに中国が議長として開く主要20か国・地域(G20)首脳会議で国際社会の批判が自国に集中すると考えたのだろう。
その中国が南シナ海問題を扱わない方針を示しているのは看過できない。各国首脳が緊張緩和について議論する重要性は、むしろ高まる一方である。
行動規範は、領有権を争う中国やフィリピンなど関係国の行動を法的に拘束するものだ。本来は、国連海洋法条約の尊重や各国の行動を監視する仕組みの創設などを盛り込むことを想定している。
だが、習近平政権は今後のASEANとの協議で、行動規範の拘束力をできる限り弱め、人工島の軍事拠点化の動きが制約されないようにする目論見(もくろみ)ではないか。
中国は南シナ海を巡る主権の主張を全面否定した7月の仲裁裁判所の判決を「紙くず」と言い放ち、受け入れていない。国際法を蔑(ないがし)ろにする中国が国際ルール作りに責任を果たすとは思えまい。
日米は、ASEAN各国、豪州などと連携して対中圧力を強め、実効性のある行動規範にしていかねばならない。
問題なのは、中国が南シナ海情勢について「外部の介入を防ぐ必要がある」と強調し、日米排除の姿勢を鮮明にしたことである。
中国は最近も、スプラトリー(南沙)諸島などで、実効支配強化の動きを加速させている。
米国の政策研究機関は今月、中国が造成した複数の人工島で、戦闘機や早期警戒管制機などを収容できる格納庫の建設が進んでいるとの分析を明らかにした。
中国軍はフィリピンに近いスカボロー礁付近で、新型爆撃機などの巡視飛行も繰り返している。
「法の支配」に背を向け、南シナ海のほぼ全域を強大な軍事力で支配しようとする中国の膨張主義の表れにほかならない。
南シナ海の安定には、米国が「航行と飛行の自由」を確保するための艦艇と航空機の巡視活動を続けるだけでなく、関係国と監視態勢を築くことが欠かせない。
南シナ海での紛争防止を図る「行動規範」の策定に向けて、中国とASEANが公式高官協議を開き、来年半ばまでに枠組み合意を目指すことで一致した。
中国は行動規範の策定に慎重だった。これ以上、期限を決めなければ、来月初めに中国が議長として開く主要20か国・地域(G20)首脳会議で国際社会の批判が自国に集中すると考えたのだろう。
その中国が南シナ海問題を扱わない方針を示しているのは看過できない。各国首脳が緊張緩和について議論する重要性は、むしろ高まる一方である。
行動規範は、領有権を争う中国やフィリピンなど関係国の行動を法的に拘束するものだ。本来は、国連海洋法条約の尊重や各国の行動を監視する仕組みの創設などを盛り込むことを想定している。
だが、習近平政権は今後のASEANとの協議で、行動規範の拘束力をできる限り弱め、人工島の軍事拠点化の動きが制約されないようにする目論見(もくろみ)ではないか。
中国は南シナ海を巡る主権の主張を全面否定した7月の仲裁裁判所の判決を「紙くず」と言い放ち、受け入れていない。国際法を蔑(ないがし)ろにする中国が国際ルール作りに責任を果たすとは思えまい。
日米は、ASEAN各国、豪州などと連携して対中圧力を強め、実効性のある行動規範にしていかねばならない。
問題なのは、中国が南シナ海情勢について「外部の介入を防ぐ必要がある」と強調し、日米排除の姿勢を鮮明にしたことである。
中国は最近も、スプラトリー(南沙)諸島などで、実効支配強化の動きを加速させている。
米国の政策研究機関は今月、中国が造成した複数の人工島で、戦闘機や早期警戒管制機などを収容できる格納庫の建設が進んでいるとの分析を明らかにした。
中国軍はフィリピンに近いスカボロー礁付近で、新型爆撃機などの巡視飛行も繰り返している。
「法の支配」に背を向け、南シナ海のほぼ全域を強大な軍事力で支配しようとする中国の膨張主義の表れにほかならない。
南シナ海の安定には、米国が「航行と飛行の自由」を確保するための艦艇と航空機の巡視活動を続けるだけでなく、関係国と監視態勢を築くことが欠かせない。