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[読売新聞] 日露首脳会談 大統領来日で「領土」は動くか (2016年09月04日)

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戦後71年間も未解決の北方領土問題を動かす一歩となるのだろうか。

安倍首相はロシア・ウラジオストクでプーチン大統領と会談し、12月15日に山口県で会談することに正式合意した。11月のペルーでの国際会議時にも会談する。

首相は会談後、「交渉を具体的に進める道筋が見えてきた。手応えを強く感じ取ることができた」と語った。両首脳の会談は14回にも上る。一定の信頼関係が築けてきたのは間違いあるまい。

ロシアでは、北方4島の返還への反対論が根強い。周辺海域は太平洋航路として軍事上の重要性が高い。駐留ロシア軍も増強された。領土交渉は楽観できない。

領土の返還という重い決断は、最高権力者のプーチン氏にしかできまい。頻繁な首脳会談を通じて、トップダウンで決着を図ろうとする首相の意図は理解できる。

首相が現地で演説し、年1回のウラジオストクでの首脳会談を提案したのも、同じ狙いだろう。

約6年ぶりの露大統領来日という貴重な機会を領土問題の進展につなげるため、政府は事前交渉に力を入れる必要がある。

今回の会談では、従来の発想にとらわれない「新しいアプローチ」で領土交渉を進める方針を再確認した。様々な分野で協力を進め、未来志向で日露関係全体を前進させる中で、領土問題の解決の糸口を探るのが日本の基本戦略だ。

首相は、日本側が提案したエネルギー、極東開発など8項目の経済協力の現状を説明した。世耕経済産業相に担当相を兼務させ、官民協議会も設置するという。

ロシアは、原油安などに伴う経済低迷が続き、日本への期待が大きい。日本側にも、協力の展開次第では、資源確保や投資の利益回収などのメリットがあろう。

ただ、経済協力だけが先行し、領土問題は取り残されるのが日露の歴史だった。前のめりになるのは禁物だ。事業内容を吟味し、協力を進めることが欠かせない。

安全保障分野での協力も重要である。日露外務省による安保協議が7月上旬、開催された。戦略的な対話を着実に重ねたい。

ウクライナ、シリア情勢を巡る米欧とロシアの対立は依然、深刻だ。日本が先進7か国(G7)の対露経済制裁の足並みを乱すことは避けねばならない。

米政府はプーチン氏来日について「懸念も心配もしていない」と静観している。日本は、日露関係について米欧に丁寧に説明し、理解を得る努力を続けるべきだ。

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