双方の主張に相違点はあっても、建設的な対話を通じて、信頼醸成を図ることが肝要である。
安倍首相は中国・杭州で、習近平国家主席と会談し、関係改善に努力することで一致した。両氏の会談は2015年4月以来で、3回目だ。
東シナ海での自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の早期運用へ協議を加速させることでも合意した。防衛当局間のホットラインの設置や、艦艇・航空機が接近した際の直接通信などが柱である。
尖閣諸島周辺では6月、中国軍艦の接続水域進入や中国軍機の接近が相次いだ。不測の事態を避けるため、当局間の詰めの協議を行い、運用開始を急ぎたい。
中国公船による領海侵入などを巡り、首相が「一方的に緊張をエスカレートさせる行動だ」と改善を求めたのは当然である。
習氏は「対話と協議を通じて適切に対応すべきだ」と語ったが、中国がまず行動を自制するのが筋だ。日中関係を本格的に修復するには、緊張緩和が欠かせない。
会談では、東シナ海のガス田共同開発の交渉再開に向けて、両国が協議することも決まった。中国は08年の合意を反故(ほご)にし、勝手に開発を続けている。合意は誠実に履行せねばなるまい。
首相は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題について、国際法のルールを守り、周辺国などの不安解消に努めるよう促した。
容認できないのは、習氏が「日本は言葉と行動を慎むべきだ」などと抗弁したことである。海上交通路(シーレーン)の安全確保は国際社会共通の利益だ。
首相は会談で、北朝鮮が弾道ミサイル3発を北海道沖に落下させた問題を提起した。「度重なる挑発行動に対し、具体的措置を講じるべきだ」と、習氏に求めた。
中国は国連安全保障理事会の常任理事国で、北朝鮮に一定の影響力を持つ。その責任を果たすことが日中連携の一歩となり得る。
中国外交は、南シナ海での自国の主権を全面否定する仲裁裁判所の判決が出たり、対韓関係の悪化を招いたり、失点が続く。
習氏が議長を務める主要20か国・地域(G20)首脳会議の成功は、自らの威信を回復するために不可欠な課題だった。
会議終了後には、中国が東・南シナ海で強硬姿勢を一段と打ち出すとの見方もある。近隣国との摩擦を強めるのでなく、アジアの安定に貢献することこそが自国の利益にもなるのではないか。
安倍首相は中国・杭州で、習近平国家主席と会談し、関係改善に努力することで一致した。両氏の会談は2015年4月以来で、3回目だ。
東シナ海での自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を防ぐ「海空連絡メカニズム」の早期運用へ協議を加速させることでも合意した。防衛当局間のホットラインの設置や、艦艇・航空機が接近した際の直接通信などが柱である。
尖閣諸島周辺では6月、中国軍艦の接続水域進入や中国軍機の接近が相次いだ。不測の事態を避けるため、当局間の詰めの協議を行い、運用開始を急ぎたい。
中国公船による領海侵入などを巡り、首相が「一方的に緊張をエスカレートさせる行動だ」と改善を求めたのは当然である。
習氏は「対話と協議を通じて適切に対応すべきだ」と語ったが、中国がまず行動を自制するのが筋だ。日中関係を本格的に修復するには、緊張緩和が欠かせない。
会談では、東シナ海のガス田共同開発の交渉再開に向けて、両国が協議することも決まった。中国は08年の合意を反故(ほご)にし、勝手に開発を続けている。合意は誠実に履行せねばなるまい。
首相は、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題について、国際法のルールを守り、周辺国などの不安解消に努めるよう促した。
容認できないのは、習氏が「日本は言葉と行動を慎むべきだ」などと抗弁したことである。海上交通路(シーレーン)の安全確保は国際社会共通の利益だ。
首相は会談で、北朝鮮が弾道ミサイル3発を北海道沖に落下させた問題を提起した。「度重なる挑発行動に対し、具体的措置を講じるべきだ」と、習氏に求めた。
中国は国連安全保障理事会の常任理事国で、北朝鮮に一定の影響力を持つ。その責任を果たすことが日中連携の一歩となり得る。
中国外交は、南シナ海での自国の主権を全面否定する仲裁裁判所の判決が出たり、対韓関係の悪化を招いたり、失点が続く。
習氏が議長を務める主要20か国・地域(G20)首脳会議の成功は、自らの威信を回復するために不可欠な課題だった。
会議終了後には、中国が東・南シナ海で強硬姿勢を一段と打ち出すとの見方もある。近隣国との摩擦を強めるのでなく、アジアの安定に貢献することこそが自国の利益にもなるのではないか。