保育所に入りたくても受け入れ先がない待機児童をゼロにする。安倍政権の重要政策を実現するには、保育ニーズの正確な把握が欠かせない。
厚生労働省が公表した今年4月時点の待機児童数は、2万3553人で、2年連続で増加した。
保育所などの受け皿は前年比9万5000人分増えたものの、受け入れ枠が拡大すると、子供を預けて働きたいという親も増える。都市部を中心に、需要増に整備が追いつかないのが実情だ。
集計に含まれない「隠れ待機児童」が6万7354人に上ることも判明した。待機児童の3倍近い。数字上は計9万人余の保育需要が満たされていないことになる。
政府は、2017年度末までに保育の受け皿を50万人分増やす計画だ。これで待機児童が解消されるのか。改めて検証すべきだ。
待機児童の集計法は、実態に即していないとの批判が強い。
厚労省の定義では、自治体が独自に補助する認可外施設に入れば待機児童として数えなくていい。遠方の保育所を指定されて断ったり、入所できずに親が育児休業を延長したりした場合も除ける。
待機児童を少なく見せたい思惑もあり、多くの自治体はこうしたケースを除外している。
横浜市の待機児童は7人だった。市が指定した保育所を断ったケースなどを含めておらず、隠れ待機児童は3110人に上る。
岡山市は今春、第3希望までに入れなかった子供を含めるよう基準を変更した結果、待機児童は前年の5倍超の729人となり、全国で2番目に多くなった。
親の育休延長などを含めている東京都世田谷区の待機児童数は、全国最多の1198人だ。
自治体ごとの数え方のばらつきを是正するため、厚労省が今回、全国統一の基準を示す方針を打ち出したのは妥当だ。自治体も子育て世帯の真のニーズに向き合い、整備計画を見直す必要がある。
預け先が見つからない不安感から、育休を早めに切り上げ、ゼロ歳からの入所を望む親も多い。それが保育需要を増やしている。
厚労省は、育休後の預け先を確保できる「入園予約制」の導入促進などの追加対策も公表した。一定の効果は期待できよう。
大切なのは、十分な受け皿の確保である。用地取得が困難な都市部では、近隣住民の反対もあり、整備が遅れがちだ。保育士不足も深刻さを増している。
政府は、財源を確保し、対策を加速させる必要がある。
厚生労働省が公表した今年4月時点の待機児童数は、2万3553人で、2年連続で増加した。
保育所などの受け皿は前年比9万5000人分増えたものの、受け入れ枠が拡大すると、子供を預けて働きたいという親も増える。都市部を中心に、需要増に整備が追いつかないのが実情だ。
集計に含まれない「隠れ待機児童」が6万7354人に上ることも判明した。待機児童の3倍近い。数字上は計9万人余の保育需要が満たされていないことになる。
政府は、2017年度末までに保育の受け皿を50万人分増やす計画だ。これで待機児童が解消されるのか。改めて検証すべきだ。
待機児童の集計法は、実態に即していないとの批判が強い。
厚労省の定義では、自治体が独自に補助する認可外施設に入れば待機児童として数えなくていい。遠方の保育所を指定されて断ったり、入所できずに親が育児休業を延長したりした場合も除ける。
待機児童を少なく見せたい思惑もあり、多くの自治体はこうしたケースを除外している。
横浜市の待機児童は7人だった。市が指定した保育所を断ったケースなどを含めておらず、隠れ待機児童は3110人に上る。
岡山市は今春、第3希望までに入れなかった子供を含めるよう基準を変更した結果、待機児童は前年の5倍超の729人となり、全国で2番目に多くなった。
親の育休延長などを含めている東京都世田谷区の待機児童数は、全国最多の1198人だ。
自治体ごとの数え方のばらつきを是正するため、厚労省が今回、全国統一の基準を示す方針を打ち出したのは妥当だ。自治体も子育て世帯の真のニーズに向き合い、整備計画を見直す必要がある。
預け先が見つからない不安感から、育休を早めに切り上げ、ゼロ歳からの入所を望む親も多い。それが保育需要を増やしている。
厚労省は、育休後の預け先を確保できる「入園予約制」の導入促進などの追加対策も公表した。一定の効果は期待できよう。
大切なのは、十分な受け皿の確保である。用地取得が困難な都市部では、近隣住民の反対もあり、整備が遅れがちだ。保育士不足も深刻さを増している。
政府は、財源を確保し、対策を加速させる必要がある。