香港の議会にあたる立法会の選挙で、中国への帰属意識の薄い「本土派」と呼ばれる若い世代の候補者が相次いで当選した。民主化を訴えた2014年の「雨傘運動」が、議会内の勢力として台頭したといえる。
背景には、民主化に消極的な中国共産党政権への反発の広がりがある。若い世代の中国離れ、反中的ともいえる機運が一段と強まった印象だ。本土派の台頭は民主化勢力の分裂傾向を示している面もあり、今後の政治情勢には目をこらしていく必要がある。
立法会の定数は70。そのうち、穏健民主派とされる勢力と本土派を合わせた民主化勢力の当選者は30人となった。民主化勢力全体としては3分の1を上回り、香港政府が提出する重要法案を否決できる議席数を確保した。
ただ、本土派の躍進にともなって穏健民主派のベテラン議員の落選が目立った。民主化勢力のなかで世代交代が進んだ形だが、街頭行動を辞さない政治勢力の台頭は社会と経済の安定に気がかりな材料ではある。
香港では14年から行政長官の選び方をめぐる政治対立がしこり続けてきた。立候補者を制限する仕組みにしようとする中国共産党政権と香港政府に対し、完全に自由な直接選挙を求める若者たちが街頭でデモを繰り広げ「雨傘運動」と呼ばれた。
「雨傘運動」そのものは挫折し政治改革は宙に浮いたままとなっているが、運動への支持が根を張り広げていることを今回の選挙結果は示したといえる。
特に影響が大きかったのは、共産党政権に批判的な書籍を扱っていた書店の経営者たちが大陸に連行された事件だろう。共産党政権が言論の自由や法の支配をないがしろにし、1997年に香港が中国に返還された際の約束である「一国二制度」をも脅かし始めた、との危機感が高まった。
中国共産党政権は選挙結果の意味をくみ取り、香港政策を練り直さなくてはならない。
背景には、民主化に消極的な中国共産党政権への反発の広がりがある。若い世代の中国離れ、反中的ともいえる機運が一段と強まった印象だ。本土派の台頭は民主化勢力の分裂傾向を示している面もあり、今後の政治情勢には目をこらしていく必要がある。
立法会の定数は70。そのうち、穏健民主派とされる勢力と本土派を合わせた民主化勢力の当選者は30人となった。民主化勢力全体としては3分の1を上回り、香港政府が提出する重要法案を否決できる議席数を確保した。
ただ、本土派の躍進にともなって穏健民主派のベテラン議員の落選が目立った。民主化勢力のなかで世代交代が進んだ形だが、街頭行動を辞さない政治勢力の台頭は社会と経済の安定に気がかりな材料ではある。
香港では14年から行政長官の選び方をめぐる政治対立がしこり続けてきた。立候補者を制限する仕組みにしようとする中国共産党政権と香港政府に対し、完全に自由な直接選挙を求める若者たちが街頭でデモを繰り広げ「雨傘運動」と呼ばれた。
「雨傘運動」そのものは挫折し政治改革は宙に浮いたままとなっているが、運動への支持が根を張り広げていることを今回の選挙結果は示したといえる。
特に影響が大きかったのは、共産党政権に批判的な書籍を扱っていた書店の経営者たちが大陸に連行された事件だろう。共産党政権が言論の自由や法の支配をないがしろにし、1997年に香港が中国に返還された際の約束である「一国二制度」をも脅かし始めた、との危機感が高まった。
中国共産党政権は選挙結果の意味をくみ取り、香港政策を練り直さなくてはならない。